今までインドのファンダメンタルズ(経済・財政・政治)と為替の見通しや、
株式市場の概況並びにおすすめ銘柄について分析してきました。
- モディ首相が牽引するインドの経済・財政・政治をファンダメンタルズ分析!人口13億人のポテンシャル市場への株式投資は今が狙い目?
- 経済成長と盤石な政治で安定さが増してきたインドルピー為替相場!インフレ率と国際収支のからの今後の見通しと高額紙幣廃止の意図は?
- インド株式市場のおすすめ銘柄と今後の見通しを徹底解説!魅力的だが成長を織込済で株価は割高に推移。
インドはモディ政権のもとで政治は安定して、経済は言うまでもなく今後の世界の経済成長を索引するでしょう。
為替も安定的に推移しており、一見すると今すぐにでも投資したくなります。
しかし、現状インドは株式市場が整備されておらず、まだまだ外国からの資金を受け入れる状況にないのです。
また、現在インドの株価は割高な水準になっているため注意が必要です。
これまでに日本で取引できるインド株の投資信託についても分析してきました。
投資信託の中には新生・UTIインドファンドのように有望なものもあります。
しかし、シンプルにインドのインデックスに連動した商品に投資を行う場合は投資信託ではなくETFへの投資を行う必要があります。
今回は日本で取引可能な
- NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信 (1678)
について分析していきたいと思います。
(過去存在した上場インデックスファンド S&P CNX Nifty先物(インド株式)(1549)は上場廃止)
Contents
1678とSENSEX指数との比較
それではまず
- インドの代表的な指数:SENSEX指数(赤色)
- 銘柄コード1678:NEXT FUNDS インド株式指数 (青色)
のチャート推移をご覧下さい。
2019年の中頃までは勝ったり負けたりという推移です。
しかし徐々に差が開き、現在では1678はSENSEXを大きくアンダーパフォームしています。
さらに、指数は配当の再投資を加味していないので、実際はSENSEX指数はさらに高いパフォーマンスとなっています。
以下でより詳しく見ていきましょう。
NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信(1678)の詳細
NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty50連動型上場投信(以下:1678)は、その名の通りNifty50指数の日本円換算に連動することを目指すETFです。
Nifty50指数とは何?という方のためにNifty50指数についての説明を引用します。
※ Nifty 50指数は、インドを代表する株価指数です。
インドのナショナル証券取引所に上場する銘柄のうち、時価総額、流動性、浮動株比率等の基準を用いて選定した50銘柄で構成されています。
指数の計算方法は、浮動株調整済時価総額加重平均方式です。
1995年11月3日を基準日とし、その日の指数値を1000として、インドルピー建てで算出されています。(引用:NEXT FUNDS 交付目論見書)
インドの指数といえばインド最大の証券取引所であるムンバイ証券取引所に上場されている銘柄で構成されるSENSEX指数が有名です。
それに対してNifty50指数はインドで2番目に大きいナショナル証券取引所に上場されている銘柄で構成されています。
2つの指数の違いについて詳しくはこの後コラムで触れますが、構成銘柄が似ており値動きもほぼ同じ動きとなっています。
では肝心な連動を目指す指数であるNifty50指数と1678は連動しているのかという点を見てみます。
残念ながら1678は上記で見たSENSEXと同様に直近かなりNifty50指数をアンダーパフォームしています。
青:Nifty50
赤:1678
ではなぜこのように乖離が発生するのでしょうか。
交付目論見書内では様々な理由が記載されていますが、かみ砕いてご説明します。
- 対象株価指数と個別銘柄の組入比率が全く同一とならないこと
- 為替変動リスク
- ポートフォリオの調整時にマーケット・インパクトや売買手数料が発生すること
- 対象株価指数と株価指数先物取引の値動きに乖離が生じること
- インド国内の法令・税制等の影響
- 信託報酬等のコスト負担
ざっとこれだけの理由が挙げられており、これ以外にもあり得ることが注記されています。
ちなみに手数料は購入価格の0.3%と安いですが、ファンド運用にかかる経費率は0.95%となっています。
つまり、実質1.25%の費用を支払っていることになります。
コラム:SENSEX指数とNifty50指数の違いを解説
上記ではほとんど同じと書いたSENSEX指数とNifty50指数ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
まず最もよく使用されているインド株指数のSENSEX指数(正式名称「S&P BSE SENSEX」)です。
SENSEX指数はアジア最古の取引所であるムンバイ証券取引所に、上場されている大型株30銘柄の時価総額加重平均型の株式指数です。
なんと30銘柄でムンバイ証券取引所の時価総額の約50%を占めています。
一方、Nifty50指数(正式名称「S&P CNX Nifty」)はナショナル証券取引所に上場されている銘柄のうち、50銘柄を選出して同じく時価総額加重平均型で構成しています。
両者は違う指数ではあるのですが、多くの組入銘柄が被っています。
しかし、以下のようにSENSEX指数がややアウトパフォームしています。
黄:SENSEX指数 青:Nifty50指数
これは両者が浮動株時価総額加重平均指数か時価総額加重平均指数かの違いによる影響です。
Nifty50指数は取引可能な株式のみを時価総額の基準とする浮動株時価総額加重平均で算出されています。
一方、SENSEX指数は時価総額そのものを組入比率を決定する基準にする時価総額加重平均で算出されています。
つまり、SENSEXの方がパフォーマンスが高いというのはインドの有望銘柄はかつての日本のように持ち合いが行われており、時価総額は大きくても浮動株比率が低くなっている銘柄が多いということです。
まとめ
国内インドETFとして上場されているNEXT FUND Nifty50指数(1678)は各種理由により、指数であるNifty50に劣るパフォーマンスとなっています。
さらに、Nifty50は同じインド株指数のSENSEXをアンダーパフォームしています。
インド自体は今後の成長が期待される非常に魅力的な新興国であることに間違いありません。
しかし、残念ながらまだ国民が貧しすぎて株式投資をする余裕がありません。
また、我々海外の一般投資家はADRという仕組みを使って間接的にしか個別株に投資をすることができません。
新興国株が上昇するのは主に先進国の余剰資金が流入したときです。
つまり、以下の条件を満たす国でこそ大きなリターンを期待することができるのです。
- 高い経済成長
- 高い企業の利益成長
- 先進国からの投資環境が整っている
- 国民の経済水準が高いに(例:日本の1980年代)
このような国の割安銘柄を厳選して投資することで、新興国投資の醍醐味である高いリターンを享受できるのです。
以下で詳しくお伝えしていますので参考にしていただければと思います。