インドは今注目の新興国です。
これまでにファンダメンタルズ・為替・株式市場について詳しく分析してきました。
さらに投資信託とETFについても詳しく分析してきました。
今回はインド投資信託の中でも、ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドを徹底分析していきたいと思います。
果たしてダイワ・ダイナミック・インド株ファンドは投資適格なのでしょうか。
Contents
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドの概要
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドは、大手アセットマネジメント会社の大和アセットマネジメントによって運用されるインド投資信託です。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドはファミリーファンド形式で運用されています。
ファミリーファンド方式というのは「投資家がベビーファンドに投資をして、そのお金を主としてマザーファンドを通して複数の投資信託を投資対象とする投資信託」のことを言います。
スキームとしてはシンプルですね。
また、ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドはベンチマークとする指数は設定していません。
指数に対してプラスのリターンを狙う、いわゆるアクティブ型の投資信託となっています。
そんなダイワ・ダイナミック・インド株ファンドのポートフォリオ構築プロセスは徹底したボトムアップとなっています。
インフラ投資や消費の拡大に注目しているところが他の投信との差別化要素となっています。
インド経済の発展や人口増加、所得向上を取り込もうとしており、ポジティブに思えます。
ではそんなダイワ・ダイナミック・インド株ファンドの運用成績はどうなのでしょうか。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドのリターンをチャートから比較
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドはアクティブ型の投資信託です。
そのため、当然ながら一番重要なのは、指数を上回ったリターンを出すことができているかという点です。
まずはチャートで指数や他のインド投信とリターンを比較してみましょう。
今回は以下と比較していきます。
- MSCIインド指数
- 新生・UTIインドファンド
- ノムラ・印度・フォーカス
直近3年間で見ると、ノムラ・印度・フォーカスをやや上回っていますが、新生・UTIインドファンドには大きな差を付けられています。
そして、なんと指数であるMSCIインドをよりも悪い成績となっています。
特に直近1年は大きく下回っておりネガティブな印象です。
残念ながらアクティブ型の投資信託としては失格と言わざるを得ないでしょう。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドのリターンとリスクをデータから比較
それではダイワ・ダイナミック・インド株ファンドと、先ほど挙げた3商品、
- MSCIインド
- 新生・UTIインドファンド
- ノムラ・印度・フォーカス
より詳細にデータを用いて比較していきましょう。
基準価額、純資産は 2022年04月22日 現在
トータルリターン等評価情報は 2022年03月31日 現在
ファンド名 | ダイワ・ ダイナミック・ インド株ファンド |
新生・ UTIインド ファンド |
(ノムラ・アジア) ノムラ・印度・ フォーカス |
MSCIインド (配当込、 円ベース) |
---|---|---|---|---|
販売手数料 | 3.3% | 3.85% | 3.3% | -- |
信託報酬等(税込) | 1.85% | 1.95% | 1.93% | -- |
トータルリターン1年 | 20.95% | 20.52% | 26.65% | 30.21% |
トータルリターン3年(年率) | 12.77% | 18.78% | 12.91% | 17.03% |
トータルリターン5年(年率) | 9.17% | 15.19% | 9.45% | 13.19% |
トータルリターン10年(年率) | 9.71% | 18.07% | 14.14% | 13.46% |
シャープレシオ1年 | 1.43 | 1.33 | 1.76 | -- |
シャープレシオ3年 | 0.47 | 0.71 | 0.48 | -- |
シャープレシオ5年 | 0.38 | 0.65 | 0.39 | -- |
シャープレシオ10年 | 0.39 | 0.78 | 0.58 | -- |
標準偏差1年 | 14.66 | 15.38 | 15.13 | -- |
標準偏差3年 | 26.93 | 26.35 | 26.95 | -- |
標準偏差5年 | 24.07 | 23.42 | 24.00 | -- |
標準偏差10年 | 25.02 | 23.17 | 24.33 | -- |
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドは、長期/短期を問わず全ての期間で残念ながら最下位の成績となっています。
インド投信の優等生である新生・UTIインドファンドに負けてしまうのは仕方ないとはいえ、インデックスであるMSCIインドにも大きく劣るのは頂けませんね。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドはなぜリターンが低くなっているのでしょうか。
私は金融セクターの組入比率が高いのが要因と見ています。
以下業種別構成をご覧ください。
順位 | 業種 | 比率(%) |
1 | 金融 | 30.3 |
2 | 一般消費財・サービス | 14.3 |
3 | 素材 | 11.9 |
4 | 資本財・サービス | 11.6 |
5 | エネルギー | 8.3 |
6 | 情報技術 | 4.9 |
7 | 生活必需品 | 3.4 |
8 | コミュニケーション・サービス | 3.2 |
9 | 不動産 | 2.8 |
10 | ヘルスケア | 2.4 |
参照:月報
なんと金融セクターが3割近くを占めています。
他の記事でも紹介した通り、インドの銀行は不良債権問題に苦しんでいます。
新型コロナウイルスの影響でその傾向はさらに悪化しています。
この金融セクターの組入比率の高さが、ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドのパフォーマンスの悪さにつながっていると私は見ています。
次にリスクについて見ていきましょう。
投資においてリスクとは「価格のブレ幅」を指します。
この「価格のブレ幅」を表す指標として用いられるのが標準偏差です。
標準偏差を用いると、今後のリターンが統計的にどの範囲で収まるかが分かります。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドの過去5年のトータルリターン9.17%と標準偏差24.07%から導かれる今後1年間のリターンは以下の通りです。
【68.2%の確率で以下の範囲に収まる】
19.17% – 24.07%(▲14.90%) ~ 9.17% + 24.07%(+33.24%)
【95.0%の確率で以下の範囲に収まる】
9.17% – 24.07%×2%(▲38.97%) ~ 9.17% + 24.07%×2(+57.31%)
40%近い下落となる可能性があることも十分に頭に入れておきましょう。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドの手数料
最後にダイワ・ダイナミック・インド株ファンドの手数料を見ておきましょう。
販売手数料は3.3%(税込)で、新生・UTIインドファンドよりは低いですが、投資信託としてはトップクラスに高い水準です。
信託報酬は毎年1.85%と他商品よりは低いですが、パフォーマンスも低いので全く正当化されませんね。
残念ながら投資不適格と言わざるを得ないでしょう。
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドのまとめ
ダイワ・ダイナミック・インド株ファンドについて詳しく分析してきました。
結論、インドのアクティブ型の投資信託の中でもリターンが低く、正直魅力がない投資信託でした。
私としては投資をする気になれません。
私のおすすめの投資先についてはランキングでまとめておりますので、ぜひそちらをご覧ください。