各国分散新興国投資信託・ETF

iTrust新興国株式(愛称:働きざかり~労働人口増加国限定~)を評価。評判通りか?手数料が二重に徴収されている?

新興国の株式市場に投資を行いたいけど、自分で銘柄を選ぶことが出来ない。

プロにまかせようと投資信託の購入に踏み切る方も多いと思います。

 

当サイトでは国毎の投資信託や新興国全体の投資信託等様々な投資信託について分析してきております。

 

本日は労働人口の増加に着目して投資国を選定して投資を行っている、

ピクテによって運用されているiTrust新興国株式について分析していきたいと思います。

 

iTrustシリーズについては以前インドに投資を行ているiTrustインド株式についで二本目の分析対象となります。

 

ちなみに、新興国全体に投資する投信・ETFはこちらでまとめています。

 

iTrust新興国株式はどんな投資信託?

iTrust新興国株式は『働きざかり~労働人口増加国限定~』という愛称を設定しています。

労働人口が増加していくことが見込まれる国に投資をして新興国の成長の取り込みを狙う投資信託です。

 

日本の高度経済成長のドライバーも爆発的な人口ボーナスが主因でした。

現在成長を行っている新興国についても同じく原動力は人口の増加となっています。

 

新興国の中には中国やロシアのように既に労働人口が減少に転じようとしている国もあり、

人口増加が見込めない国を除外するのは理にかなった戦略であると言えるでしょう。

 

iTrust新興国株式はiTrustインド株式と同様にファンド・オブ・ファンズ形式で運用が為されています。

iTrustの運用スキーム

参照:交付目論見書

 

ファンドに投資するファンドという意味です。

 

iTrust新興国株式は上図のように、成長新興国に投資を行うピクテ・グローバル・セレクション・ファンドと、

ピクテ・ショートターム・マネー・マーケットの二つに投資を行っています。

 

しかし、実態は前者のファンドに95%以上を投資し、解約などに備えた資金の一部を遊ばせておくのに勿体ないので公国債ファンドに投資を行っているという運用形態をとっています。

 

直接ピクテ・グローバル・セレクション・ファンドに投資できないの?

と疑問に思われた方もいると思いますが、この仕組みが運用会社のピクテの巧妙なところです。

 

後で説明しますが手数料を二重で徴収される結果を招いてしまうのです。

投資家を煙にまきながら手数料を多く徴収する仕組みであるのです。

 

iTrust新興国株式の構成国や構成上位銘柄

では具体的に労働人口が増える国はどこと捉えているのかという点について見ていきましょう。

iTrust国別構成比

参照:月報

 

今まさに経済成長中の中国が組み入れられていないのはネガティブです。

 

インド、南アフリカ、ブラジルは確かに人口は今後も拡大していきます。

インドは経済・政治ともに安定して、モディ首相のモディノミクスの後押しもあり今後経済規模は拡大していきます。

 

 

しかし、南アフリカやブラジルは政治面や財政面で難局を迎えております。

更に見事に1人あたりGDP10,000USDの中所得国の罠にはまっており、

経済はこの5年間停滞しております。

 

組み入れ上位銘柄をみてみると、上位銘柄にインド企業が犇めいています。

iTrust組入上位銘柄

参照:月報

インドのIT系の企業と、各国の巨大銀行が主な呼応性となっていますね。

 

iTrust新興国株式の利回り(成績)

理念はよいのですが、構成国は必ずしも魅力的な国ばかりではないことが分かりました。

では一番重要な成績はどうなっているのでしょうか。

 

以下は設定された2017年3月以降のチャートとなっていますが軟調に推移しています。

iTrustの設定来推移

参照:月報

データとしてみると以下の通りとなります。(2021年2末時点)

 

期間 ファンド
1ヶ月 6.01%
3ヶ月 10.52%
6ヶ月 15.37%
1年 ▲2.95%
3年(年率) ▲10.27%
設定来(累積) -17.65%
設定来(年率) -4.94%

 

手数料を加味する前の水準ですら設定来マイナスの成績となってしまっています。

確かに、2018年に入ってからは新興国市場に米中貿易戦争やトルコやアルゼンチンの危機。

更に2018年半ばから長引く米中貿易摩擦と逆風が吹いております。

 

しかし、2017年は新興国株が非常に堅調に推移したことを考える酷い成績であるといわざるを得ません。

実際新興国全体の成績として用いられるMSCIエマージングマーケットインデックスと比較したチャートをご覧ください。

iTrustとMSCIエマージングインデックスの比較

参照:MORNINGSTAR

MSCIエマージングマーケットインデックスが+10%を2017年3月から現在2018年9月で達成しています。

一方でiTrust新興国株式は▲10%という散々な成績となってしまっています。

 

iTrust新興国株式の手数料

iTrust新興国株式は新興国投資信託の中では珍しい、購入手数料がかからない投資信託です。

信託手数料についても見た目上は0.5775%と2%程度の信託手数料が新興国投資信託は多い中において、

良心的な手数料となっています。

iTrustの投資者が信託財産で間接的に負担する費用

参照:交付目論見書

 

しかし、よーく読み進めていくと、実質的な負担は最大1.1775%という記述が目に留まります。

意味が分からないという方もいらっしゃると思いますが、先ほどのファンド・オブ・ファンズ形式が影響しています。

 

iTrustの運用スキーム

参照:交付目論見書

 

つまり上図でファンドと記載されているiTrust新興国株式自体は信託手数料が0.5775%となっていますが、

iTrust新興国株式が投資を行っている投資先ファンドでも手数料が発生しているのです。

 

95%以上を投資しているピクテ・グローバル・セレクション・ファンドの信託手数料が0.6%なので、

仮に投資比率が100%となった場合は、実質的には0.6%の手数料の負担となり1.1775%となるという意味なのです。

 

0.6%分については投資金額から直接差し引かれるのではなく、そもそもの投資結果として差し引かれる形態となっています。

非常に分かりづらくなっていますね。

 

しかし、同じピクテが運用しているファンドに投資をして、

結果的にどちらからも手数料を徴収しているのは正直ずるいなと感じます。

 

ただ、全部合計しても信託報酬が1.1%(年率)というのは他のアクティブ型投資信託よりも低いので、

手数料の観点からは及第点であると言えるでしょう。

 

iTrust新興国株式のまとめ

iTrust新興国株式は人口増加が見込まれる新興国に投資を行うアクティブ型の投資信託ですが、

理念とは裏腹に投資成績は新興国指数を大幅に下回る結果となってしまっています。

 

手数料は他の投資信託に比べて安いですが、肝心の成績から判断すると投資価値があるとは言えないでしょう。

 

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