インド投資信託・ETF

評判の超一流金融グループ運用の「JPMインド株アクティブ・オープン」は何故低いリターンなのかを含めて徹底評価。分析結果の共有。

インドは注目の新興国ということもあり、様々な投資信託について今まで分析してきました。

 

今回は米国トップティアの銀行であるJP Morgan系列によって運用されている「JPMインド株アクティブ・オープン」について紐解いていきたいと思います。

 

JPMインド株アクティブ・オープンってどんな投資信託?

JPMインド株アクティブ・オープンはJP Morganの関連会社である、

JPモルガン・アセット・マネジメントによって運用されているインドの投資信託です。

JPMインド株アクティブ・オープンは、MSCIインド指数に対してプラスのパフォーマンスを出すことを目標としたアクティブ型の投資信託です。

 

MSCIは世界的に有名な指数算出会社で、新興国の主要なインデックスであるMSCIエマージング・マーケット・インデックスも設定しています。

  • 新興国インデックスのMSCIエマージングマーケットインデックス分析結果をわかりやすく解説!

 

MSCIインド指数は、インド株式市場の時価総額上位85%を占める大型・中型銘柄で構成される指数です。

以下のようにMSCIエマージングマーケット指数やMSCI BRICS指数を上回るパフォーマンスを挙げています。

MSCIインドのパフォーマンス

参照:MSCI

 

 

JPMインド株アクティブ・オープンの業種別・銘柄別組入銘柄

上記の通り、JPMインド株アクティブ・オープンはMSCIインド指数より高いパフォーマンスを目指して銘柄を構成しています。

現在のTop10の銘柄は以下のようになっております。

順位 銘柄名 市場 セクター 比率(%)
1 インフォシス インド ソフトウェア・サービス 9.7
2 住宅開発金融会社 インド 銀行 9.2
3 リライアンス・インダストリーズ インド エネルギー 6.5
4 ICICI銀行 インド 銀行 6.5
5 タタ・コンサルタンシー・サービシズ インド ソフトウェア・サービス 5.8
6 アクシス銀行 インド 銀行 4.8
ラーセン&トゥプロ インド 資本財 4.5
8  マルチ・スズキ・インディア インド 自動車・自動車部品 4.0
9 コタック・マヒンドラ銀行 インド 銀行 3.7
10 ヒンドゥスタン・ユニリーバ インド 家庭用品・パーソナル用品 3.7

参照:月報

 

10銘柄中4銘柄が銀行となっており、非常に金融機関の比重が高いことが分かります。

インドではモディ首相が製造業の続伸を目指すMake in India政策を打ち出しています。

その政策の成果が徐々に表れつつあり、金融緩和で金利も利下げ局面にあることから、今後製造業は伸長することが見込まれます。

従い、個人的には消費関連・製造業の比率を高めるべきだと思います。

 

次に業種別構成比を見ていきましょう。

JPMインド株アクティブ・オープンの業種別構成比率は以下の通りです。

順位 銘柄名 比率(%)
1 銀行 28.1
2 ソフトウェア・サービス 19.9
3 エネルギー 9.1
4 資本財 6.4
5 自動車・自動車部品 6.2
6 素材 5.3
7 家庭用品・パーソナル用品 3.4
8 電気通信サービス 3.4
9 各種金融 3.2
10 食品・飲料・タバコ 2.8
11 その他業種 12.1

 

銀行セクターが1/4以上はさすがに比率が高すぎますね。

インドの銀行は不良債権処理で苦しんでいたため、その点からもネガティブです。

 

詳細は後ほどご説明しますが、これら構成比率の結果として低いパフォーマンスとなってしまっています。

確かに高額紙幣の廃止によって国民が銀行に預金口座を作り始めたことを背景に、銀行セクターの業績が上向くことは期待できます。

 

しかし、そのような状況となるまでには時間がかかります。

現状軟調に推移しているのであれば、他の製造業や消費セクターに資金を移しておくべきですね。

 

JPMインド株アクティブ・オープンの運用成績をMSCIインド指数や他のインド投資信託と比較

それでは肝心の成績について見ていきましょう。

JPMインド株アクティブ・オープンはMSCIインドをベンチマークとしています。

今回比較対象とするのは以下の通りです。

  • MSCIインド:JPMインド株アクティブ・オープンのインデックス
  • 新生・UTIインド・ファンド:インド投信で優秀な成績を残している商品
  • ドイチェ・インド株式ファンド:同じ外資系銀行が運用している商品

 

JPMインド株アクティブ・オープンのリターン

まずはリターンを見てみましょう。

以下は直近3年間のトータルリターンです。

JPMインドと他投信のチャート比較

参照:MORNINGSTAR

 

一目でわかる通り、新生・UTIインドファンドやドイチェ・インド株式ファンドに大きくアンダーパフォームしています。

さらにインデックスであるMSCIインド指数に対しても大きくアンダーパフォームしていますね。

 

詳しくデータを見てみましょう。

 

基準価額、純資産は 2022年04月18日 現在
トータルリターン等評価情報は 2022年03月31日 現在

ファンド名 JPM インド株
アクティブ・
オープン
ドイチェ・インド株式ファンド 新生・UTIインドファンド MSCIインド(配当込、
円ベース)
トータルリターン1年 20.65% 21.80% 20.52% 30.21%
トータルリターン3年(年率) 9.57% 15.29% 18.78% 17.03%
トータルリターン5年(年率) 7.13% 12.44% 15.19% 13.19%
トータルリターン10年(年率) 10.20% 13.03% 18.07% 13.46%

 

直近5年間のリターンが特に良くないことが分かりますね。

これは先ほど説明した通り、銀行の比率が高すぎることが要因であると思われます。

 

JPMインド株アクティブ・オープンのリスク

投資を行うのであればリターン(=利回り)だけでなく、リスクにも注意を払う必要があります。

リスクというのは投資の世界では「価格の変動幅の激しさ」のことを指します。

 

以下の図のファンドAとファンドBを保有する場合、どちらの方が安心して保有することができるでしょう。

 

投資のリスク

 

間違いなく右肩上がりのファンドAの方が安心できますよね。

サラリーマンの方が価格が激しく動くファンドBを保有していると、気になって仕事に集中できないかと思います。

この価格のブレを投資の世界では標準偏差という指標で表します。

 

それではJPMインド株アクティブ・オープンの標準偏差を他の投信と確認していきましょう。

ファンド名 JPM インド株
アクティブ・
オープン
ドイチェ・インド株式ファンド 新生・UTIインドファンド MSCIインド(配当込、
円ベース)
標準偏差1年 14.71 15.17 15.38 --
標準偏差3年 26.86 25.54 26.35 --
標準偏差5年 24.31 22.87 23.42 --
標準偏差10年 23.86 22.52 23.17 --

 

一般に、標準偏差が20%を超えるとリスクが高いと言えます。

インド株の投資信託は総じて標準偏差が高いですが、長期ではJPMインド株アクティブ・オープンが最も高い水準ですね。

一番リスクが高いと言えます。

リターンが低いのにリスクが最も高いということからも他のインド投信に劣後していることが伺えますね。

 

JPMインド株アクティブ・オープンの5年平均リターン7.13%(年率)、標準偏差5年24.31%から、今後1年間のリターンは統計的に以下の範囲に収束することが推測されます。

 

68.2%の確率で

7.13% – 24.31%(▲17.18%) ~ 7.13% + 24.31%(+31.44%

 

95%の確率で

7.13% – 24.31% ×2(▲41.49%) ~ 7.13% + 24.31%×2(+55.75%

 

40%を超える下落が十分あり得ることは頭に入れておきましょう。

 

JPMインド株アクティブ・オープンの高い手数料

JPMインド株アクティブ・オープンは他のインドの投資信託と同じく非常に高い手数料となっています。

ファンド名 JPM インド株
アクティブ・
オープン
ドイチェ・インド株式ファンド 新生・UTIインドファンド MSCIインド(配当込、
円ベース)
販売手数料 3.85% 3.85% 3.85% --
信託報酬等(税込) 1.98% 1.97% 1.95% --

 

どの投信も似たような数字ですが、販売手数料3.85%で信託手数料が1.98%となっています。

これはアクティブ型の投資信託の中でも非常に高い水準であるということができます。

銘柄選定のための人件費や為替手数料などによるものだと思いますが、この低いリターンに高い手数料は納得できませんね。

 

JPMインド株アクティブ・オープンのまとめ

JPMインド株アクティブ・オープンはMSCIインド指数に対してプラスのリターンを追求するアクティブ型の投資信託です。

しかし、不良債権整理で苦しみ株価が伸び悩む銀行セクターに偏った銘柄構成となっておりリターンは芳しくありません。

 

他のインド株アクティブファンドやMSCIインド指数に対しても、アンダーパフォームしており投資先としてとても魅力的とは言えません。

そもそもインドの株式市場自体が割高な水準であり、今後調整が入るリスクを考える必要もあります。

 

おすすめの投資先についてはランキングでまとめていますので参考にしてみてください。

 

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