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「深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)」の株価推移は好調?人気の投資信託の運用成績・見通しを徹底評価!

資産運用を考えている人の中には「中国」への投資を検討している人が多いのではないでしょうか。

また、中国への投資を考えるのであれば、会社員の方であればまず投資信託を検討すると思います。

 

中国株全体については以下の記事で論じています。

 

その中でも投資信託を購入する場合、つまり企業の運用のプロに任せる場合は、

どのくらいのリターンが実際に見込まれるのでしょうか?

 

今回は中国株投信の人気商品「深セン・イノベーション株式ファンド」

の運用状況と、今後の見通しを解説していきたいと思います。

 

その他の中国投資信託については以下で分析をしているので参考にしてみてくださいね。

 

深セン・イノベーション株式ファンド- 概要と運用方針 –

深セン・イノベーション株式ファンドは海外アジアの株式を運用するファンドですね。

中国のシリコンバレーと呼ばれている「深セン」のイノベーション企業に積極的に投資するという、

非常に興味深いファンドです。

 

深セン・イノベーション株式ファンドの投資形態はファミリーファンド型となっており、

他でも分析している以下の中国株投資ファンドとほぼ同様の形となっています。

 

 

スキームは以下の通りとなっています。

深セン・イノベーション株式ファンドの運用スキーム

参照:交付目論見書

 

一般投資家は深センイノベーション株式ファンドに投資し、深センイノベーション株式ファンドはマザーファンドに出資、

マザーファンドは「深セン証券取引所」の上場企業の株式に投資し、運用をしています。

運用プロセスは以下の通りとなっています。

深セン・イノベーション株式ファンドの運用プロセス

参照:交付目論見書

 

投資プロセスはシンプルで、投資候補を絞り込み、パフォーマンスをモニタリングしながら修正を加えていくものです。

イノベーション企業の絞り込みはなかなか面白いですね。

 

開発力、人材及び経営の質なども調査項目に入っています。

調査には当たり前の項目ですが、ベンチャー企業に投資する上では重点的に見ていかなければならないポイントですね。

組入上位銘柄は以下の通りになっています(2022年2月28日現在)。

順位 銘柄名 市場 セクター 比率(%)
1 コンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジー 深セン市場 創業板 資本財 4.2
2 ビーワイディー 深セン市場 メインボード 自動車 3.7
3 イースト・マネー・インフォメーション 深セン市場 創業板 各種金融 3.5
4 ラクスシェア・プレシジョン 深セン市場 メインボード テクノロジー・ハードウェア 3.3
5 サンダー・ソフトウェア・テクノロジー 深セン市場 創業板 ソフトウェア・サービス 2.9
6 ジェイエイ・ソーラー・テクノロジー 深セン市場 メインボード 半導体 2.7
7 ウーシー・リード・インテリジェント 深セン市場 創業板 資本財 2.4
8 ユンナン・エナジー・ニューマテリアル 深セン市場 メインボード 素材 2.3
9 チョンチン・ジーフェイ・バイオロジカル 深セン市場 創業板 ヘルスケア 2.3
10 ゴアテック・インク テクノロジー・ハードウェア 2.3

参照:マンスリーレポート

 

他中国株投資信託とはやはり異なり、騰訊やアリババなどのメジャー株ではなく、
テクノロジー企業や一般消費財、ヘルスケアなどライフスタイル方面のベンチャー企業に投資を行なっています。

では実際の運用状況はどうなっているのでしょう。

 

深セン・イノベーション株式ファンドの運用成績・パフォーマンス

深セン・イノベーション株式ファンドにはベンチマークはないので今回は基準価額を見ていきましょう。

以下は深セン・イノベーション株式ファンドの基準価額の推移です。

深セン・イノベーション株式ファンドの基準価額推移

参照:月次レポート

 

2017年の設定来2020年初頭頃まで10,000円を割り込んで推移していました。

その後は順調に推移してコロナ影響で一時期大きく下落した後、コロナ前の水準まで回復しました。

直近はやや落ち込んでいますが、下落は限定的です。

 

他の中国株投資信託との比較

ではこのパフォーマンスは他中国株投資信託と比べてどうなのでしょうか。

10,000円を基準価額としている以下の投資信託及びインデックスと比較してみましょう。

  • 三井住友ニューチャイナファンド
  • UBS中国株式ファンド
  • MSCI中国

基準価額、純資産は 2022年04月08日 現在
トータルリターン等評価情報は 2022年03月31日 現在

ファンド名 深セン・イノベーション
株式ファンド(1年決算型)
三井住友・
ニュー・チャイナ・
ファンド
UBS
中国株式ファンド
MSCI中国
(配当込、円ベース)
販売手数料 3.3% 3.3% 3.3% --
信託報酬等(税込) 1.71% 1.98% 1.97% --
トータルリターン1年 0.36% -22.24% -21.38% -24.28%
トータルリターン3年(年率) 23.91% 7.20% 4.13% 1.49%
トータルリターン5年(年率) -- 5.71% 10.88% 5.72%
トータルリターン10年(年率) -- 9.51% 14.20% 9.31%
シャープレシオ1年 0.02 -1.63 -1.61 --
シャープレシオ3年 0.86 0.37 0.24 --
シャープレシオ5年 -- 0.31 0.60 --
シャープレシオ10年 -- 0.47 0.70 --
標準偏差1年 22.87 13.64 13.29 --
標準偏差3年 27.76 19.49 17.53 --
標準偏差5年 -- 18.58 18.28 --
標準偏差10年 -- 20.26 20.21 --

 

直近1年は指数含む他投信が20%超の下落を見せる中、辛うじてプラスとなっています。

3年のリターンも23.91%と他投信を圧倒しており、コロナショック後ハイテク産業が世界的に調子が良かったことが追い風となっていますね。

ここまでのリターンは他投信に比して好調と言ったところでしょうか。

 

ただし他投信に比してまだ設定から間もないためこれからの成績は不透明です。

現に投資のリスクを表す標準偏差は3年で27.76と他投信に比してかなり大きな数字となっています。

これから大きく下落する可能性があることも頭に入れておくべきでしょう。

 

深セン・イノベーション株式ファンドの高い手数料

最後に深センイノベーション株式ファンドの手数料を確認しておきましょう。

深センイノベーション株式ファンドの購入手数料は3.3%(税込)となります。

 

中華圏株式ファンドは3.85%(税込)と高い水準にありましたが、

深センイノベーション株式ファンドは三井住友ニューチャイナファンド、UBS中国株式ファンドと同様の水準となります。

 

信託報酬は年率で1.71%(税込)となり、こちらは他中国株投資信託よりも低い水準になります。

 

しかし一般的なアクティブ型の国内投資信託よりも高い水準にありますね。

やはり海外の、それも深センのベンチャー投資がメインになってきますので、
手数料は調査費用や人件費などを考えるとどうしても高い水準となってしまいますよね。

 

深セン・イノベーション株式ファンドのまとめ

深センイノベーションファンドについて見てきました。

株価上昇が期待されるテクノロジー銘柄を中心に中国株を厳選して投資運用しており、今のところ他投信に比べて高いリターンを上げています。

しかし、運用者がサラリーマンである以上、徐々に他投信と同水準に収束すると思われます。

 

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おすすめ投資先を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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