これまでにインドについては以下の通り様々な分析を実施してきました。
- モディ首相が牽引するインドの経済・財政・政治をファンダメンタルズ分析!人口13億人のポテンシャル市場への株式投資は今が狙い目?
- 経済成長と盤石な政治で安定さが増してきたインドルピー為替相場!インフレ率と国際収支のからの今後の見通しと高額紙幣廃止の意図は?
- インド株式市場のおすすめ銘柄と今後の見通しを徹底解説!魅力的だが成長を織込済で株価は割高に推移。
また各投資信託についても以下で様々な商品を分析しています。
インドの政治はモディ首相のもと安定しております。
文句なく今後も圧倒的な経済成長力を成し遂げるであろう魅力的な新興国株市場です。
しかし、誰の眼から見ても魅力的なため、Nifty50指数のPERは現在23倍を超えるなど割高な水準となっています。(日経平均は13倍)
今回はこれまでの分析からさらに踏み込んだ分析を実施します。
具体的には、インド投資信託についておすすめできるものをランキング形式で紹介していきたいと思います。
なお、インドの指数に連動することを目的としたETFは存在しています。
しかし、インドの指数に連動することを目指した投資信託は存在しません。
そのため、インドの指数に対してプラスのリターンを確保することを目指した「アクティブ型」の投資信託について紹介していきたいと思います。
Contents
インドの投資信託の運用利益TOP5とMSCIインド指数をチャートから比較
以下は3年以上運用を行っており、なおかつ高いリターンを出している投資信託と、MSCIインド指数との比較です。
直近3年では「新生・UTIインドファンド」が最も良いリターンを挙げています。
ちなみに上記のトータルリターンは配当金を再投資した前提です。
また、手数料は考慮されていませんので実際のリターンはこれよりも悪くなります。
直近1年間のリターンはどうでしょうか。
ここでは指数のMSCIインドが一番良いリターンとなっています。
それでは、詳細にデータを見ていきましょう。
基準価額、純資産は 2022年04月15日 現在
トータルリターン等評価情報は 2022年03月31日 現在
ファンド名 | 新生・ UTIインド ファンド |
野村 インド株投資 |
(ノムラ・アジア) ノムラ・印度・ フォーカス |
iTrustインド株式 | MSCIインド (配当込、 円ベース) |
---|---|---|---|---|---|
販売手数料 | 3.85% | 3.3% | 3.3% | 0% | -- |
信託報酬等(税込) | 1.95% | 2.20% | 1.93% | 1.50% | -- |
トータルリターン1年 | 20.52% | 21.50% | 26.65% | 17.33% | 30.21% |
トータルリターン3年(年率) | 18.78% | 12.87% | 12.91% | 13.27% | 17.03% |
トータルリターン5年(年率) | 15.19% | 9.68% | 9.45% | -- | 13.19% |
トータルリターン10年(年率) | 18.07% | 12.76% | 14.14% | -- | 13.46% |
シャープレシオ1年 | 1.33 | 1.55 | 1.76 | 1.24 | -- |
シャープレシオ3年 | 0.71 | 0.53 | 0.48 | 0.53 | -- |
シャープレシオ5年 | 0.65 | 0.44 | 0.39 | -- | -- |
シャープレシオ10年 | 0.78 | 0.56 | 0.58 | -- | -- |
標準偏差1年 | 15.38 | 13.91 | 15.13 | 13.93 | -- |
標準偏差3年 | 26.35 | 24.34 | 26.95 | 24.90 | -- |
標準偏差5年 | 23.42 | 22.05 | 24.00 | -- | -- |
標準偏差10年 | 23.17 | 22.77 | 24.33 | -- | -- |
参照:MORNINGSTAR
5年間の平均リターンではMSCIインド指数が年率13.19%となっています。
この指数を上回っている商品はただ1つ新生・UTIインドファンドのみで、年率15.19%です。
新生・UTIインドファンドは標準偏差がやや高い水準ですが、リターンが他商品に比べて高いので許容できます。
標準偏差というのは投資におけるリスクのことで、どれだけの価格のブレ幅があるかということです。
例えば新生・UTIインドファンドの5年平均リターンは15.19%、標準偏差は23.42%です。
ここから想定される今後1年間の新生・UTIインドファンドのリターンは統計学的に以下の範囲に収まることを意味します。
68.2%の確率で、
15.19% – 23.42%(▲8.23%) ~ 15.19% + 23.42%(+38.61%)
95%の確率で、
15.19% – 23.42%×2(▲31.65%) ~ 15.19% + 23.42%×2(+62.03%)
99.7%の確率で、
15.19% – 23.42%×3(▲55.07%) ~ 15.19% + 23.42%×3(+85.45%)
大きなリターンが見込める半面、最大で▲50%以上の下落を被る可能性もあります。
その点はしっかり頭に入れておきましょう。
さて、いよいよインドの投資信託として魅力的な商品のランキングを見ていきましょう。
インド投資信託ランキング1位:新生UTIインドファンド
第1位は上記でも見てきた通り高いリターンを誇る新生・UTIインドファンドです。
新生UTIインドファンドはその名の通り、新生インベストマネジメントによって運用されている投資信託です。
実際に運用を行っているのは1963年にインド発の投信会社として設立されたUTIアセット・マネジメント社です。
新生UTIインドファンドはファンド・オブ・ファンズ形式で運用されています。
要はUTIアセットマネジメントが組成・運用している投資信託を組み合わせて運用しているという形態をとっているのです。
上記で詳しく見た通り成績はインドの投資信託の中で最もよいパフォーマンスであり、
直近1年以外全ての期間でMSCIインド指数を上回るリターンを残しています。
過去01年リターン:年率 20.52%(MSCIインド 30.21%)
過去03年リターン:年率 18.78%(MSCIインド 17.03%)
過去05年リターン:年率 15.19%(MSCIインド 13.19%)
過去10年リターン:年率 18.07%(MSCIインド 13.46%)
指数を上回る高いリターンを出している優秀なアクティブ型投信であると言えるでしょう。
新生UTIインドファンドの欠点を挙げるとすると、その高い手数料です。
販売手数料は3.85%で、信託報酬は年率1.95%です。
両手数料ともアクティブ型の中でもかなり高い水準となっています。
これら手数料を加味するとリターンはより悪くなるため、他商品と差が縮まってしまいます。
ただ、他インド投信もそれなりに高い手数料水準です。
手数料を加味して考えると魅力は低くなりますが、インド投信の中では頭一つ抜けた存在であることは間違いないでしょう。
インド投資信託ランキング2位:iTrustインド株式
1位の新生・UTIファンドとこの後紹介するノムラ・印度・フォーカスは、パフォーマンス自体は高いのですが、手数料が高いという欠点を抱えています。
その他のファンドも同様に手数料は高く、手数料加味後のリターンでいうと指数を下回るものがほとんどです。
そんな中、2位のiTrustインド株式はインド株式ファンドの中で最も手数料が低くなっています。
なんと、iTrustインド株式は買付手数料が0%で、信託報酬は年率1.5%です。
これは投資信託としては驚異の低さと言えます。
しかし、2018年4月からの運用と運用期間が短いため、まだまだこれからの動きは要注視です。
これまでの3年間はMSCIインドとほぼ同様のパフォーマンスです。
今後MSCIインドを上回るリターンが出せるかに期待しましょう。
インド投資信託ランキング3位:ノムラ・印度・フォーカス
3位はノムラ・印度・フォーカスです。
ノムラ・印度・フォーカスは野村アセットマネジメントによって運用されているインドのアクティブ型投資信託です。
ノムラ・アジア・シリーズのインド版ですね。
以下のように流動性の高い大中型銘柄を選別し、そこから各種分析・評価を通して投資先を選定しています。
肝心の運用成績は以下となっております。
過去01年リターン:年率 26.65%(MSCIインド30.21%)
過去03年リターン:年率 12.91%(MSCIインド17.03%)
過去05年リターン:年率 9.45%(MSCIインド13.19%)
過去10年リターン:年率 14.14%(MSCIインド13.46%)
直近はMSCIインドに劣っていますが長期的には安定した成績を残しています。
過去5年の平均リターン年率9.45%と標準偏差24.00%から今後1年間の期待リターンは、以下のリターンに収まることが想定されます。
68.2%の確率で、
9.45% – 24.00%(▲14.55%) ~ 9.45% + 24.00%(+33.45%)
95%の確率で、
9.45% – 24.00%×2(▲38.55%) ~ 9.45% + 24.00%×2(+57.45%)
99.7%の確率で、
9.45% – 24.00%×3(▲62.55%) ~ 9.45% + 24.00%×3(+81.45%)
また新生UTIインドファンドと同様に手数料は高く販売手数料は3.3%で信託報酬は1.93%となっています。
手数料加味後のリターンではMSCIインドとの差はさらに開いてしまいますね。
インド投信の手数料が高い理由
アクティブ型インド投信の手数料が高いのは主に3つの理由があります。
まず、上記で書いたように銘柄選定に手間がかかるため、人件費が大きくかかってしまうことです。
指数を上回ろうとするとそれなりの時間がかかってしまうのです(現実には指数を上回れていない商品がほとんどなのですが・・・)。
次に為替コストによるものです。
新興国投資信託は為替手数料も加味されてしまうのでどうしても手数料が高くなってしまいます。
最後にインド株は直接インド市場にアクセスして取引できないことです。
そのため、預託証券への投資を行うこととなり、どうしても手数料が高くなりがちになってしまうのです。
ちなみに、新生・UTIファンドはインドの投信であるUTIのファンドを購入しているので直接インド株にアクセスしていると言えます。
しかし、UTIと新生アセットマネジメントの両方で手数料がかかっているので手数料が高くなってしまうのです。
インド投資信託の見通しとまとめ
インドには指数連動を目指すパッシブ型の投資信託はなく、アクティブ型の投資信託のみしかありません。
新生・UTIファンドを始めとして、MSCIインド指数より高いパフォーマンスを挙げているファンドもあります。
しかし、人件費や為替コスト、預託証券への投資などが影響して手数料が高くなっています。
結果として、手数料を加味するとMSCIインド指数と同等又はそれ以下の成績になってしまう商品がほとんどです。
また、インドは確かに魅力的な市場ではありますが、既に割高な水準となっていることも考慮しておく必要があると言えるでしょう。
新興国投資はマーケットに入るタイミングが大切です。
やはり多くの人が魅力に気づき本格的に資金が流入する前、つまり注目される前の段階の国へと集中的に資金を投下することで大きくリターンを得る事ができます。
記事下のランキングでは、おすすめの投資先についてまとめております。
これから新興国投資で大きな利益を狙いたいという方は是非参考にしてみて下さい。