東アジア(中国除く)株式

まだまだ歴史の浅い台湾への株式投資はありえるのか?政治・経済・財政のファンダメンタルズ分析を通して検討しました。

「台湾」といえば何を思い浮かべますか?

台湾ラーメン、マンゴープリンなどなどですね。台湾には親日家も多く、日本から台湾に旅行にいく人も多いですよね。とても身近な国です。

 

そんな台湾ですが、果たして株式投資をする市場として選択すべき国なのでしょうか?

 

例えば、台湾は世界経済インデックスのポートフォリオにも組み入れられています。

今回は新興国株式投資をする上でまず必須となる、ファンダメンタル分析をしていきたいと思います。

 

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台湾の一般概要

台湾の概要を把握しておきましょう。

まずは一般概要です。

 

国・地域名 台湾(地域) Taiwan
面積 36,197平方キロメートル(九州とほぼ同規模)
人口 2,357万人(2017年末)
出所: 内政統計年報
言語 中国語(公用語)、閩南語(台湾語)、客家語
宗教 仏教、道教、キリスト教
公用語 中国語(公用語)

 

人口は2,357万人と小規模ですが、国面積は九州と同じ規模であり、人口密度はまずまずですね。次に経済概況です。

 

項目 2017年
実質GDP成長率 2.9(%)
名目GDP総額 579.3(10億ドル)
一人当たりの名目GDP 24,577(ドル)
鉱工業生産指数伸び率 3.8(%)
(備考:鉱工業生産指数伸び率) 工業生産伸び率、基準価格は2011年
消費者物価上昇率 0.6(%)
(備考:消費者物価上昇率) 年平均
失業率 3.8(%)
(備考:失業率) 季節調整後
輸出額 317,249(100万ドル)
(備考:輸出額) 通関ベース
対日輸出額 20,782(100万ドル)
(備考:対日輸出額) 通関ベース
輸入額 259,266(100万ドル)
(備考:輸入額) 通関ベース
対日輸入額 41,943(100万ドル)
(備考:対日輸入額) 通関ベース
経常収支(国際収支ベース) 82,882(100万ドル)
貿易収支(国際収支ベース、財) 80,855(100万ドル)
金融収支(国際収支ベース) 65,874(100万ドル)
直接投資受入額 3,287(100万ドル)
(備考:直接投資受入額) フロー、ネット
外貨準備高 451,500(100万ドル)
(備考:外貨準備高) 金を除く
対外債務残高 317(100万ドル)
(備考:対外債務残高) 公共部門による1年以上の債務
政策金利 1.4(%)
対米ドル為替レート 30.4(台湾元)
(備考:対米ドル為替レート) 期中平均値

(引用:JETRO

 

後ほどでも触れますが、すでに台湾は一人当たりGDPが25,000USDほどあり、新興国のような今後大きく国が発展する水準ではないことがわかります。

 

そんな台湾ですが、どのような歴史を持つ国なのでしょうか?ざっくりと概要を見ていきましょう。

 

年月 略史
1949年12月7日 台北に「臨時首都」を遷都
1971年10月25日 国連を脱退
1975年4月5日 蒋介石総統死去
1987年7月15日 戒厳令解除
1988年1月13日 蒋経国総統死去,李登輝副総統が総統に就任
1996年3月23日 初の総統直接選挙で李登輝が当選
2000年3月18日 民進党の陳水扁が総統に当選
2004年3月20日 陳水扁が総統に再選
2008年3月22日 国民党の馬英九が総統に当選
2012年1月14日 馬英九が総統に再選
2016年1月16日 民進党の蔡英文が総統に当選

(引用:外務省

 

1949年に台北に臨時首都を遷都し、1996年に初めて総統直接選挙が開催されたという非常に歴史の浅い国ですね。

現在の総統は、蔡英文氏となっています。

台湾総統の画像

 

女性がリーダーを務める国、それが台湾です。

 

 

台湾経済の現状、GDP成長率の推移を把握しよう

台湾は世界経済インデックスなど投資信託に組み込まれていますが、

本当に今後も経済成長する国として、個人投資家は十分なリターンを得られるのでしょうか。

 

以下は1990年代からの台湾のGDPとその経済成長率です。

台湾のGDPとその成長率

 

 

 

リーマンショック時はマイナス成長となってしまいましたがその後V字回復を果たし、

現在は2-3%の成長となっていますね。

 

同じく世界経済インデックスに組み込まれている韓国と同様の成長率水準です。

  • 韓国の末路は日本と同様に高齢化社会、少子化社会?今後の株式投資の可能性を検討するファンダメンタルズ分析

 

すでに台湾は経済成長が終わっており、

フィリピンやタイなどの5%を超える成長を見込む時期ではありません。

 

すでに概要でも少し触れましたが、一人当たりGDPを見ればそれが確信できます。

以下は1990年からの一人当たりGDPの推移です。

 

台湾のGDP推移

 

上記を見ていただければわかりますが、すでに台湾の一人当たりGDPは約25,000USDです。

 

新興国経済の成長が加速するのは一人当たりGDPが1,000USDを超えた時期となりますが、台湾はすでに1990年以前にそのフェーズは終わっており、中所得国の罠である10,000USDもうまく産業転換を成功させ、これまで成長してきました。

 

日本の一人当たりGDPは40,000USDほどであり、まだ経済が伸びる余地があるようにも感じますよね。

人口から、今後の台湾がまだ経済成長をする余地が残されているのかを見ていきましょう。

 

台湾の人口は今後も増加する?人口推移、人口ピラミッドを考察

日本は人口が減速傾向にあり、人口ピラミッドも若年層が少なく、少子高齢化と、社会問題になっていますよね。

 

ここまでくると、経済成長の余地がほぼ皆無となってしまうのですが、台湾はどうなっているのでしょう。

まずは1990年からの人口推移です。

台湾の人口推移

 

 

台湾の人口は徐々にではありますが、少しずつまだ増えていますね。

では、台湾の人口ピラミッドを見ていきましょう。

台湾の人口ピラミッド

 

 

 

やはり、若年層に向けて人口ボリュームが減少していますね。

 

日本、韓国、台湾とすでに経済成長は完了しており、同じように少子化、高齢化社会に深刻な問題を抱えています。

株式投資で大きなリターンを得る、という観点ではまず投資する対象ではないとすでに判断できる水準です。

 

 

台湾のGDPを支えているのは?

台湾のGDPを支えているのはどの産業になるのでしょうか?

具体的に見ていきましょう。

台湾の産業構造

 

 

 

2018年の方を見ていくと、やはり製造業、卸・小売ですね。

不動産、金融・保険・情報・通信、ホテル・外食などサービス業も約20%を占め、まさに両輪ですね。

 

すでに産業の転換は完了しており、ここからはさらなる技術集約型の産業展開をしていく必要があります。

 

台湾には「鴻海集團(フォックスコン)」という電子機器製造会社があり、同社は世界の「デル」「アップル」などの大手メーカーを相手に、マザーボードや各種コネクタをはじめとした各種パーツを供給する超一流企業です。

 

現在は鴻海集團社が突き抜けている状況ではありますが、他にも同社のような世界を相手に戦う企業が増えていくことで、まだまだ国が成長する余地はあるかもしれません。

 

 

台湾の輸出先・他国に依存性はあるのか?

すでにここまでで台湾への投資はあまりおすすめできない目線で解説してきていますが、実際に投資をするという場合は貿易相手の情報もしっかり把握しておく必要があります。

 

まずは、輸出品とその相手国をみていきましょう。

台湾の輸出入内訳

 

 

 

上記で鴻海集團社を紹介した通り、やはり電気機器及び部品が多いですね。

 

そして韓国と同様、中国のシェアが極めて高いです。

 

これでは、中国経済に依存していることになりますので、貿易輸出入額も小さくない台湾も、中国経済の影響を大きく受けてしまいそうです。

 

 

この記事のまとめ

ここまで台湾のファンダメンタル分析を実施してきましたが、

総じて株式投資にはすでに向かない国と言えます。

しかし、それでも世界経済インデックスファンドやブラックロックなどがポートフォリオに組み入れるのはなぜなのでしょうか。

 

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