インドネシアは成長著しいASEAN諸国の中でも特に急成長を遂げている新興国です。
2.7億人を超す人口を有し、国民の1人当たりGDPも成長し続けており、まさに右肩上がりの国と言えます。
より詳しいファンダメンタルズ分析は以下の記事をご覧ください。
資源産業に依存・GDP比から少ない歳入で投資減少が経済成長の足枷に?株式投資に向けたインドネシアの経済・政治・財政のファンダメンタルズ分析
そんなインドネシアの成長を取り込みたいと考え、投資を検討している方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、投資しようにも全くイメージが湧かず、どの銘柄に投資すべきか分からないですよね。
そもそも我々日本人はインドネシアの個別銘柄になじみがありません。
さらに決算書は英語で、インドネシア独自の会計基準を採用している企業もあり、分析の段階で心が折れてしまいます。
となると、個別銘柄ではなく、市場全体に投資を行うのが良いのではないかと考えるのが妥当でしょう。
今回はインドネシアの代表的な投資信託である、「NNインドネシア株式ファンド」をご紹介します。
この記事を読み終わる頃には、あなたはインドネシア投信に投資すべきかどうかを判断できるようになっているでしょう。
Contents
NNインドネシア株式ファンドとはどのような商品なのか~概要~
では早速NNインドネシア株式ファンドについて詳しく見ていきましょう。
NNインドネシア株式ファンドは、その名の通りNNインベストメント・パートナーズ株式会社によって運用されています。
NNインベストメント・パートナーズという名前を初めて聞いた方もいらっしゃるかと思います。
同社はオランダのハーグに拠点を置く欧州の大手資産運用会社であり、運用資産総額は約 3,550億米ドルに上ります。
2021年8月にゴールドマンサックスによって買収され話題となりました。
NNインドネシア株式ファンドは、その名の通りインドネシアの株式等を実質的な主要投資対象としています。
また、ジャカルタ総合指数を参考指数としていますが、参考指数への連動や参考指数を上回ることを目標とするファンドではないことには注意が必要です。
同ファンドはいわゆるファミリーファンド方式です。
ファミリーファンド方式は、投資家からの資金をまとめてベビーファンドとし、その資金をマザーファンドの受益証券に投資することにより実質的な運用を行う仕組みです。
以下の図をご覧ください。
まず、我々投資者はNNインドネシア株式ファンドに投資します。
そして、NNインドネシア株式ファンドはさらにその先のマザーファンドに投資します。
最終的にマザーファンドがインドネシア株式等に投資して運用しているのです。
では、組入上位5業種と10商品を見ておきましょう。
まずは組入上位5業種です。
順位 | セクター | 比率(%) |
---|---|---|
1 | 金融 | 34.5 |
2 | インフラ | 16.5 |
3 | 生活必需品 | 12.3 |
4 | 素材 | 10.3 |
5 | 資本財 | 5.2 |
やはり新興国ということで金融の比率が高くなっています。
経済発展に資金は必要不可欠ですからね。
次に組入上位10銘柄です。
順位 | 銘柄名 | セクター | 比率(%) |
---|---|---|---|
1 | バンク・セントラル・アジア | 金融 | 8.8 |
2 | バンク・ラヤット・インドネシア | 金融 | 8.3 |
3 | テレコムニカシ・インドネシア | インフラ | 6.5 |
4 | バンク・マンディリ | 金融 | 4.2 |
5 | バンク・ジャゴ | 金融 | 4.1 |
6 | アストラ・インターナショナル | 資本財 | 3.0 |
7 | ムルデカ・コッパー・ゴールド | 素材 | 2.9 |
8 | インドフード・スクセス・マクムル | 生活必需品 | 2.3 |
9 | タワー・ベルサマ・インフラストラクチャー | インフラ | 2.1 |
10 | ユニリーバ・インドネシア | 生活必需品 | 1.9 |
金融銘柄が上位5銘柄中の4銘柄を占めています。
インドネシア最大の通信会社テレコムニカシ・インドネシアも含まれていますね。
では実際の運用成績はどうなっているでしょうか。
NNインドネシア株式ファンドの運用成績
NNインドネシア株式ファンドは上でも書いた通り、ジャカルタ総合指数を参考指数としています。
最新の第24期は参考指数の騰落率を下回っています。
いくら参考指数とはいえ、指数を下回っているのは心もとないですね。
比較されるのが嫌だから「参考」だと言い張っているのではないかと疑ってしまいます。
では基準価額の推移とトータルリターンを見てみましょう。
基準価額とトータルリターンについては別記事で詳しく解説していますので、興味がある方はご覧ください。
分配金再投資前の灰色のグラフをご覧ください。
5年間で基準価額は11,156円から12,984円とほとんど変わっていませんね。
ではトータルリターンはどうでしょうか。
年 | 1年 | 3年 (年率) |
5年 (年率) |
10年 (年率) |
---|---|---|---|---|
トータルリターン | 19.65% | 8.34% | 5.39% | 6.55% |
カテゴリー | 24.95% | 8.29% | 4.20% | 6.47% |
標準偏差 | 12.81 | 29.73 | 24.93 | 23.62 |
カテゴリー | 18.03 | 27.30 | 24.24 | 23.61 |
シャープレシオ | 1.53 | 0.28 | 0.22 | 0.28 |
カテゴリー | 1.41 | 0.30 | 0.18 | 0.29 |
ファンド数 | 32本 | 31本 | 25本 | 15本 |
5年で5.39%、10年で6.55%のリターンは新興国投資としては全く物足りないリターンですね。
これだけで判断するのはまだ不十分ですので、他のインドネシア投資信託と比較してみましょう。
他のインドネシア株投資信託との比較
今回は以下のインドネシア2投信及び1つの指標と比較していきます。
- イーストS・インドネシア株式オープン
- (ノムラ・アジア)インドネシア・フォーカス
- MSCIインドネシア
基準価額、純資産は 2021年11月26日 現在
トータルリターン等評価情報は 2021年10月31日 現在
ファンド名 | NN インドネシア株式ファンド | イーストS・インドネシア株式オープン | (ノムラ・アジア)インドネシア・フォーカス | MSCIインドネシア(配当込、円ベース) |
---|---|---|---|---|
販売手数料 | 3.85% | 3.85% | 3.3% | -- |
信託報酬等(税込) | 1.87% | 1.89% | 1.82% | -- |
トータルリターン1年 | 19.65% | 8.58% | 21.65% | 14.06% |
トータルリターン3年(年率) | 8.34% | -2.09% | 5.75% | 3.10% |
トータルリターン5年(年率) | 5.39% | -1.55% | 3.81% | 3.33% |
トータルリターン10年(年率) | 6.55% | 1.93% | 5.59% | 5.64% |
シャープレシオ1年 | 1.53 | 0.65 | 1.77 | -- |
シャープレシオ3年 | 0.28 | -0.07 | 0.20 | -- |
シャープレシオ5年 | 0.22 | -0.06 | 0.15 | -- |
シャープレシオ10年 | 0.28 | 0.08 | 0.24 | -- |
標準偏差1年 | 12.81 | 13.29 | 12.20 | -- |
標準偏差3年 | 29.73 | 31.25 | 29.45 | -- |
標準偏差5年 | 24.93 | 26.74 | 24.88 | -- |
標準偏差10年 | 23.62 | 25.12 | 23.72 | -- |
直近1年は(ノムラ・アジア)インドネシア・フォーカスに劣っていますが、長期では最も良いリターンですね。
ただ、これは他の投資信託が悪すぎるだけだと言わざるを得ないでしょう。
低いレベルでの争いになっています。
インドネシアにどうしても投資したいという場合は検討に値しますが、そもそもインドネシアという国自体が現時点では投資妙味はあまりないと言えるでしょう。
経済がもう少し成熟し、株式市場が上昇する地合いになるまで待つのが良いと私は考えます。
NNインドネシア株式ファンドの高い手数料
インドネシアへの投資は少し待った方がいいと考えますが、念のために手数料も確認しておきましょう。
NNインドネシア株式ファンドの購入手数料は3.85%(税込)です。
一般的なアクティブ型投資信託の中でも最も高水準になっていますね。
信託報酬は年率で1.87%(税込)と、こちらも最高水準です。
やはり、銘柄選定にかなりの経費が掛かることや、ファミリーファンド方式であることにより手数料が嵩むことが原因でしょう。
もう少しリターンが高ければ手数料が高くても良いと思いますが、現時点では投資は控えるべきだと私は考えます。
NNインドネシア株式ファンドのまとめ
NNインドネシア株式ファンドについて様々な角度から見てきました。
インドネシアが今後さらなる経済成長を遂げることは間違いありません。
しかし、株式市場が上昇するにはまだまだ時間がかかるでしょう。
また、NNインドネシア株式ファンドは手数料も最高水準です。
現時点では株式市場が成長する地合いに入っている別の新興国に投資し、いずれインドネシア株式市場が成長する地合いが整ったときに改めて検討することをおススメします。
おすすめの投資先については、私が独自で作成しているランキング記事で、紹介していますので、参考にしてみてくださいね。