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評判の中国株投信「ダイワ・チャイナ・ファンド」を徹底評価!安定したリターンで口コミは良好だが直近の成績は心配?

資産運用を考えている人の中には「中国」への投資を検討している人が多いのではないでしょうか。

また、中国への投資を考えるのであれば、会社員の方であればまず投資信託を検討すると思います。

 

中国株全体については以下の記事で論じています。

 

その中でも投資信託を購入する場合、つまり企業の運用のプロに任せる場合は、どのくらいのリターンが実際に見込まれるのでしょうか?

 

今回は中国株投信で評判の商品「ダイワ・チャイナ・ファンド」の運用状況と、今後の見通しを解説していきたいと思います。

その他の中国投資信託については以下で分析をしているので参考にしてみてくださいね。

 

ダイワ・チャイナ・ファンド~概要と運用方針~

ダイワ・チャイナ・ファンドは、中国および香港の株式に投資しています。

具体的には上海A/B株、深センA/B株、H株、レッドチップ株などに投資します。

それぞれの定義は以下をご参照ください。

上海A株・深センA株

・上海A株市場・深センA株市場に上場されている株式
・海外投資家に対しては、QFII制度(適格国外機関投資家制度)などを導入し、対外開放が進められている

上海B株・深センB株

・海外投資家向け専用に設立された上海B株市場・深センB株市場に上場されている株式

H株

・登記地が中国本土となっている企業が香港で発行する株式
・H株を発行するのは中国で登記された純然たる中国企業で、本土で事業を展開しながら香港市場に上場している
・H株の「H」は「Hong Kong」の頭文字
・道路、電力、鉄鋼など重厚長大型の国有企業が多く、これらの企業が香港市場で海外の資金を調達する手段となっており、中国本土の法律が適用される

(引用:SMBC日興證券

レッドチップ

・中国政府資本が30%以上で、香港またはバミューダ、ケイマン諸島などのタックスヘイブンで登記されている銘柄
・レッドチップ(Red Chip stocks)は、中国本土に主な事業資産を有している海外登記の企業で、香港に上場しているもの
・法律と会計制度は登記地のものが適用される
・「レッドチップ」という名称は、優良株を意味する「ブルーチップ」を中国共産党のカラーにもじって呼んだのが由来
・1980年代から中国資本による香港企業の買収が相次いだことから発展した市場
・90年代以降は通信、テクノロジー関連の有力企業を中心に上場数が急増

(引用:SMBC日興證券

 

 

銘柄選定にあたっては、成長性等に注目し、流動性等も勘案します。

ダイワ・チャイナ・ファンドの銘柄選定方法

参照:交付目論見書

 

さすが大手の大和アセットマネジメントです。

徹底的なリサーチをもってポートフォリオを組んでいますね。

これがこの後ご説明する手数料の高さにつながっているのですが・・・。

 

さて、組入上位10銘柄を見てみましょう。

順位 銘柄名 業種 比率(%)
1 テンセント 中国 コミュニケーション・サービス 8.4
2 アリババ・グループ・ホールディング 中国 一般消費財・サービス 6.2
3 中国招商銀行 中国 金融 5.1
4 蒙牛乳業 中国 生活必需品 4.4
5 BYD CO LTD 中国 一般消費財・サービス 3.9
6 MEITUAN 中国 一般消費財・サービス 3.9
7 AIA GROUP LTD 香港 金融 3.6
8 CHINA LONGYUAN POWER GROUP-H 中国 公益事業 3.0
9 KWEICHOW MOUTAI CO LTD-A 中国 生活必需品 3.0
10 BAIDU INC - SPON ADR 中国 コミュニケーション・サービス 3.0

参照:月次レポート

 

テンセント、アリババが安定のTop2ですね。

一般消費財・サービスや金融の銘柄が多いのも特徴と言えるでしょう。

経済成長に伴って大きく成長する一般消費財・サービス銘柄が多く組み入れられているのはポジティブな材料ですね。

 

それでは具体的に運用成績はどうなっているのかを見ていきましょう。

 

ダイワ・チャイナ・ファンドの運用成績

ダイワ・チャイナ・ファンドはベンチマークを設定していませんので、基準価額の推移とトータルリターンを見ていきましょう。

ダイワ・チャイナ・ファンドのトータルリターン

参照:月報

 

まずは基準価額の推移です。

設定来の分配金再投資基準価額で見るとリーマンショックの時に大きく下落を見せています。

その後は概ね順調に推移していましたが、直近の下落は大きいですね。

 

では、トータルリターンはどうなっているでしょうか。

1年 3年
(年率)
5年
(年率)
10年
(年率)
トータルリターン -21.87% 8.86% 6.95% 8.99%
カテゴリー -15.09% 7.05% 6.96% 10.01%
標準偏差 17.75 23.34 21.41 21.04
カテゴリー 15.84 20.61 19.39 21.78
シャープレシオ -1.23 0.38 0.33 0.43
カテゴリー -0.97 0.34 0.36 0.46
ファンド数 50本 42本 34本 33本

 

トータルリターン(年率)は10%を超えている期間がなく、直近1年も20%を超えるマイナスです。

 

また、どの機関もシャープレシオが低いのが気になります。

シャープレシオはファンドの平均リターンから無リスク資産のリターンを差し引き、標準偏差で割った数字です。

標準偏差は値動きの大きさ、つまりリスクを表す指標でしたね。

シャープレシオは取ったリスクに対するリターンの大きさを測るための指標なのです。

 

シャープレシオは1以上あると優秀で0.5~0.9が標準です。

ダイワ・チャイナ・ファンドはぎ標準に達しておらず、アクティブ型投資信託としては物足りない数字ですね。

 

他の中国株投信と比べるとこれはどれくらいの運用成績なのでしょうか。

 

他の中国株投資信託との比較

今回は以下の中国株投信3商品と比較します。

  • UBS中国株式ファンド
  • 新成長中国株式ファンド
  • 中華圏株式ファンド

 

基準価額、純資産は 2022年04月08日 現在
トータルリターン等評価情報は 2022年03月31日 現在

ファンド名 ダイワ・
チャイナ・
ファンド
UBS
中国株式
ファンド
新成長
中国株式
ファンド
中華圏株式
ファンド
(毎月分配型)
販売手数料 3.3% 3.3% 3.3% 3.85%
信託報酬等(税込) 1.67% 1.97% 1.76% 1.76%
トータルリターン1年 -21.87% -21.38% -16.64% -12.01%
トータルリターン3年(年率) 8.86% 4.13% 9.13% 7.42%
トータルリターン5年(年率) 6.95% 10.88% 8.97% 7.47%
トータルリターン10年(年率) 8.99% 14.20% 12.07% 8.66%
シャープレシオ1年 -1.23 -1.61 -1.22 -1.20
シャープレシオ3年 0.38 0.24 0.48 0.39
シャープレシオ5年 0.33 0.60 0.48 0.39
シャープレシオ10年 0.43 0.70 0.56 0.42
標準偏差1年 17.75 13.29 13.61 10.03
標準偏差3年 23.34 17.53 19.08 18.89
標準偏差5年 21.41 18.28 18.84 18.97
標準偏差10年 21.04 20.21 21.53 20.76

 

長期では中華圏株式ファンドをやや上回っていますが、UBS中国株式ファンドや新成長中国株式ファンドに劣っています。

また、短期でも最下位で、他投信に比べて成績は悪いようです。

これを見ると今後の見通しも暗く、投資する気が起きませんね。

 

ダイワ・チャイナ・ファンドの高い手数料

ここまでで投資するには厳しいことが分かりましたが最後に手数料を見ておきましょう。

ダイワ・チャイナ・ファンドの購入手数料は年率で3.3%(税込)ですね。

一般的なアクティブ型投資信託と変わらない手数料です。

 

信託報酬は年率で1.67%(税込)と上記の比較商品に比べればほんの少しだけ低くなっています。

しかし、これは投信としてはとても高い水準にあります。

上記で述べたように、入念なリサーチにより銘柄選定を実施しており、その分費用がかかるのが主な原因と思われます。

高い手数料を取るのであればせめて高いリターンを出してもらわないと納得いきませんね。

 

ダイワ・チャイナ・ファンドのまとめ

ダイワ・チャイナ・ファンドは株価上昇が期待される中国株を厳選して投資運用を実施しています。

長期では安定したリターンを挙げているものの、直近1年はマイナスリターンとなるなど今後の見通しは暗いと言えるでしょう。

 

さらに手数料もやや高いので正直魅力的な投資先とは言えません。

もし魅力的な投資先を探しているのであれば、私が独自で作成しているランキング記事などでおすすめ投資先を紹介していますので、参考にしてみてくださいね。

 

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