前回は新興国のインデックスとして有名なFTSEエマージングインデックスについて分析しました。
新興国インデックスのFTSEエマージングインデックス分析結果をわかりやすく解説!
今回は、新興国のETFや投資信託の連動目標としてよく使用されるインデックスである、「MSCIエマージングインデックス」がどのようなインデックスであるかという点を説明していきたいと思います。
そもそもMSCIとは何なのか?
MSCIとはMorgan Stanley Capital Internationalの略。
名前の通り米国の一流銀行であるモルガン・スタンレーと元々指数算出会社である、
Capital International社の子会社として1998年に誕生しました。
Financial Times紙とロンドン証券取引所の合弁で作られたFTSE社となんだか成り立ちまで似ていますね。
MSCI社は現在では最も有名な指数算出会社として、新興国や先進国、世界全体に限らず、各国の指数についても様々な指数を公表しており、
MSCI~としてリリースしております。
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ方針
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ方針について、
日本語でわかりやすく説明しますが、まずは以下原文をご覧ください。
The MSCI Emerging Markets Index is designed to represent the performance of large- and mid-cap securities in 24 Emerging Markets. As of December 2017 it had more than 830 constituents and covered approximately 85% of the free float-adjusted market capitalization in each country.
(引用:MSCI Emerging Index)
つまりMSCIは24の新興国の大型中型銘柄の動きを代表するとうな値動きを実現することを目的としていて、
2017年末の段階で流動性のあり830企業を構成銘柄として、
新興国の時価総額の85%(全世界株式市場の10%)をカバーしているということが記載されております。
ほとんどFTSEエマージングインデックスと同じ内容ですね。
構成銘柄がFTSEエマージングマーケットは1000銘柄を超えていることを考えると僅かに少ないですね。
また24の国についても言及されており、以下の国々となっています。
The emerging markets are: Brazil, Chile, China, Colombia, Czech Republic, Egypt, Greece, Hungary, India, Indonesia, Korea, Malaysia, Mexico, Pakistan, Peru, Philippines, Poland,Russia, Qatar, South Africa, Taiwan, Thailand, Turkey and United Arab Emirates
ブラジル、チリ、中国、コロンビア、チェコ、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、パキスタン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、カタール、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ、UAEとなっています。
なぜ韓国を赤字にしたかというと、
韓国は既に1人あたりGDPは30,000USDに近づき先進国といえる水準であるということと、
FTSEエマージングインデックスは韓国を指数の構成銘柄から除外しているため、
MSCIエマージングインデックスに特有な為です。
コラム:小型銘柄用の指数はあるのか?
MSCIエマージングインデックスがカバーしているのは以下の赤線部分だけです。
参照:MSCI
では緑の小型銘柄の指数は存在しないのか、といえばそんなことはありません。
小型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging small cap Indexが存在しています。
その他にも中型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging middle cap Index、
大型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging Large cap Index、
更に全体の指数であるMSCI Emerging All cap Indexも存在しています。
世界の各金融機関が新興国の株価の状態の全体感を表す指標として、MSCIエマージングインデックスを
用いれている為、MSCIエマージングインデックスが注目されているのです。
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ国比率
先程24カ国の銘柄を選んでいると申し上げましたが、組み入れ比率は以下のようになっています。
参照:MSCI
なんと中国、韓国、台湾の上位3国だけで57%をしめています。
もはや東アジアインデックスといっても良いレベルです。
更にここにブラジル、ロシアといった成長力の低い国を加えると全体の70%近くを占めることになります。
中国が多いのは辛うじてポジティブですが魅力的な構成とは言えませんね。
同じく代表的な新興国のインデックスであり、FTSEエマージングインデックスの構成国と比較してみましょう。
参照:FTSE
韓国がFTSEは組み入れられていない為、中国・台湾・インドの割合が若干高くなっています。
また東アジアの割合が50%未満と若干低くなっていますが、概ね韓国以外は同様の比率となっています。
MSCIエマージングマーケットインデックスのパフォーマンスをチャートとデータから分析
いよいよパフォーマンスについて見ていきましょう。
リーマンショック前は中国が勢いよく成長していたこともあり非常に堅調に推移していましたが、
リーマンショック後は資源価格の下落、チャイナショックによって軟調に推移しています。
参照:Investing.com
さらにリスクも見ていきましょう。
リスクというのは価格の変動幅であり平均リターンに対してどれだけ価格がぶれるのかということを示しています。
参照:MSCI
上記を見ていただければMSCIエマージングインデックスの価格の変動幅が、
直近1年、3年(年率)、5年(年率)、10年(年率)で先進国、世界全体より大きい(=価格変動が荒い)ことがわかります。
10年のリターン(年率)4.28%と10年のリスク(年率)17.66%から、今後1年間の値動きは統計的に以下のように推測されます。
68.2%の確率で年率
4.28% – 17.66% (▲13.38%) ~ 4.28%+17.66%(+21.94%)
95%の確率で年率
4.28% – 17.66%×2% (▲31.04%) ~ 4.28%+17.66%×2(+39.60%)
30%以上の下落は十分にありうる範囲であることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
MSCIエマージングインデックスとFTSEエマージングインデックスの比較
MSCIエマージングインデックスと同様に代表的なFTSEエマージングインデックスとの、
パフォーマンスの比較をしていきたいと思います。
両者を直接比較するチャートはありませんでしたが、両者に連動する投資信託の値動きを比べました。
参照:justETF
殆どパフォーマンスに両者遜色ないですね。
MSCIエマージングマーケットインデックスに連動する投資信託とETF
MSCIエマージングマーケットインデックスに連動するETF並びに投資信託は以下になります。
いずれにせよ、既に成長のピークを過ぎた新興国に投資を行うこととなるので、あまり魅力的な選択肢とは言えないでしょう。
魅力的な新興国株式の投資先についてはランキングでも紹介しておりますので、ご覧ください。
新興国投資信託・ETF解説
新興国インデックスのMSCIエマージングマーケットインデックス分析結果をわかりやすく解説!
前回は新興国のインデックスとして有名なFTSEエマージングインデックスについて分析しました。
新興国インデックスのFTSEエマージングインデックス分析結果をわかりやすく解説!
今回は、新興国のETFや投資信託の連動目標としてよく使用されるインデックスである、「MSCIエマージングインデックス」がどのようなインデックスであるかという点を説明していきたいと思います。
Contents
そもそもMSCIとは何なのか?
MSCIとはMorgan Stanley Capital Internationalの略。
名前の通り米国の一流銀行であるモルガン・スタンレーと元々指数算出会社である、
Capital International社の子会社として1998年に誕生しました。
Financial Times紙とロンドン証券取引所の合弁で作られたFTSE社となんだか成り立ちまで似ていますね。
MSCI社は現在では最も有名な指数算出会社として、新興国や先進国、世界全体に限らず、各国の指数についても様々な指数を公表しており、
MSCI~としてリリースしております。
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ方針
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ方針について、
日本語でわかりやすく説明しますが、まずは以下原文をご覧ください。
つまりMSCIは24の新興国の大型中型銘柄の動きを代表するとうな値動きを実現することを目的としていて、
2017年末の段階で流動性のあり830企業を構成銘柄として、
新興国の時価総額の85%(全世界株式市場の10%)をカバーしているということが記載されております。
ほとんどFTSEエマージングインデックスと同じ内容ですね。
構成銘柄がFTSEエマージングマーケットは1000銘柄を超えていることを考えると僅かに少ないですね。
また24の国についても言及されており、以下の国々となっています。
ブラジル、チリ、中国、コロンビア、チェコ、エジプト、ギリシャ、ハンガリー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、パキスタン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ロシア、カタール、南アフリカ、台湾、タイ、トルコ、UAEとなっています。
なぜ韓国を赤字にしたかというと、
韓国は既に1人あたりGDPは30,000USDに近づき先進国といえる水準であるということと、
FTSEエマージングインデックスは韓国を指数の構成銘柄から除外しているため、
MSCIエマージングインデックスに特有な為です。
コラム:小型銘柄用の指数はあるのか?
MSCIエマージングインデックスがカバーしているのは以下の赤線部分だけです。
参照:MSCI
では緑の小型銘柄の指数は存在しないのか、といえばそんなことはありません。
小型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging small cap Indexが存在しています。
その他にも中型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging middle cap Index、
大型銘柄のみの指数としてMSCI Emerging Large cap Index、
更に全体の指数であるMSCI Emerging All cap Indexも存在しています。
世界の各金融機関が新興国の株価の状態の全体感を表す指標として、MSCIエマージングインデックスを
用いれている為、MSCIエマージングインデックスが注目されているのです。
MSCIエマージングマーケットインデックスの組み入れ国比率
先程24カ国の銘柄を選んでいると申し上げましたが、組み入れ比率は以下のようになっています。
参照:MSCI
なんと中国、韓国、台湾の上位3国だけで57%をしめています。
もはや東アジアインデックスといっても良いレベルです。
更にここにブラジル、ロシアといった成長力の低い国を加えると全体の70%近くを占めることになります。
中国が多いのは辛うじてポジティブですが魅力的な構成とは言えませんね。
同じく代表的な新興国のインデックスであり、FTSEエマージングインデックスの構成国と比較してみましょう。
参照:FTSE
韓国がFTSEは組み入れられていない為、中国・台湾・インドの割合が若干高くなっています。
また東アジアの割合が50%未満と若干低くなっていますが、概ね韓国以外は同様の比率となっています。
MSCIエマージングマーケットインデックスのパフォーマンスをチャートとデータから分析
いよいよパフォーマンスについて見ていきましょう。
リーマンショック前は中国が勢いよく成長していたこともあり非常に堅調に推移していましたが、
リーマンショック後は資源価格の下落、チャイナショックによって軟調に推移しています。
参照:Investing.com
さらにリスクも見ていきましょう。
リスクというのは価格の変動幅であり平均リターンに対してどれだけ価格がぶれるのかということを示しています。
参照:MSCI
上記を見ていただければMSCIエマージングインデックスの価格の変動幅が、
直近1年、3年(年率)、5年(年率)、10年(年率)で先進国、世界全体より大きい(=価格変動が荒い)ことがわかります。
10年のリターン(年率)4.28%と10年のリスク(年率)17.66%から、今後1年間の値動きは統計的に以下のように推測されます。
68.2%の確率で年率
4.28% – 17.66% (▲13.38%) ~ 4.28%+17.66%(+21.94%)
95%の確率で年率
4.28% – 17.66%×2% (▲31.04%) ~ 4.28%+17.66%×2(+39.60%)
30%以上の下落は十分にありうる範囲であることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
MSCIエマージングインデックスとFTSEエマージングインデックスの比較
MSCIエマージングインデックスと同様に代表的なFTSEエマージングインデックスとの、
パフォーマンスの比較をしていきたいと思います。
両者を直接比較するチャートはありませんでしたが、両者に連動する投資信託の値動きを比べました。
参照:justETF
殆どパフォーマンスに両者遜色ないですね。
MSCIエマージングマーケットインデックスに連動する投資信託とETF
MSCIエマージングマーケットインデックスに連動するETF並びに投資信託は以下になります。
いずれにせよ、既に成長のピークを過ぎた新興国に投資を行うこととなるので、あまり魅力的な選択肢とは言えないでしょう。
魅力的な新興国株式の投資先についてはランキングでも紹介しておりますので、ご覧ください。
-新興国投資信託・ETF解説