私のブログでは国毎の投資信託や新興国全体の投資信託等様々な投資信託について分析しております。
その中でも、インドネシアは東南アジアの中でも成長力が高く注目の新興国となっています。
インドネシアが魅力的なことは分かっているけど、結局何に投資をすればよいのか分からない。
個別銘柄は聞いたこともない銘柄で決算書は英語で記載されているため分析するのが難しい。
そもそも決算書に書かれていることが正しいかどうかも疑わしい。
そんなお悩みを持ち、とりあえずインドネシアの市場全体に投資を行うETFに投資をしようと考えている方も多いのではないでしょうか。
今回はインドネシアのETFで代表的なiシェアーズ MSCI インドネシア ETF(通称:EIDO)を取り上げます。
インドネシアETF投資を行う際の注意点や問題点を分析していきたいと思います。
Contents
インドネシアの経済と個別株投資をする際の注意点
まず本題に入る前にインドネシアの経済状況を簡単におさらいしましょう。
インドネシアは他の東南アジア諸国と比べると、マレーシアほど経済発展が進んではおりません。
しかし、ベトナムやカンボジア・ミャンマーよりは経済発展が進んでいます。
以下は一人当たりのGDP水準です。
ちょうど家電が普及し始める経済水準且つ人口動態も今後人口が上昇していく形態となっており、
経済成長が加速していくことが見込まれています。
そんなインドネシアに投資は行いたいけど個別銘柄は良く分からないですよね。
また日本からインドネシアに投資を行う場合には注意しなければならない点も多く存在しています。
以前インドネシアの株式投資について解説した記事で言及した通り、売買往復の為替手数料と購入・売却手数料が合計10%程度発生します。
10%というとかなり大きなハンデです。
そんなハンデを負って戦わなければいけないのです。
iシェアーズ MSCI インドネシア ETF(EIDO)はどんなETFなのか
EIDOについて詳しく見ていきましょう。
ETFには基本的には連動を目標とする指数、つまりインデックスが存在します。
ETFは儲かるのか?仕組みとメリット・デメリットをわかりやすく解説
例えばバンガードのVOOであればS&P500指数に連動した成果を目指します。
VWOであればFTSEエマージングインデックス・オールキャップ指数への連動を目標としています。
EIDOはMSCI Indonesia Investable Market Indexへの連動を目指します。
インドネシア株式のベンチマークとして用いられる有名な指数と言えばMSCIインドネシア指数があります。
この2つの指数はどう違うのでしょうか。
MSCIインドネシア指数はインドネシア株式市場の大型銘柄・中型銘柄を対象に時価総額の85%を組み入れた指数ですが、
MSCI Indonesia Investable Market Indexはインドネシアの浮動株調整後の時価総額の99%を組み入れた加重平均指数です。
浮動株とは何かというと、投資家が取引できる株の時価総額です。
例えば株価100円の企業が100株発行していたとすると時価総額は10,000円となります。
しかし銀行や創業者が固定株として60株保有していた場合に市場で取引可能な浮動株は100株-60株=40株となります。
結果的に浮動株調整後の時価総額は4,000円ということになります。
つまりMSCI Indonesia Investable Market Indexは、インドネシア株のほぼ全ての銘柄の、
取引可能な時価総額で加重平均した指数ということが出来ます。
『取引可能な』という部分が後に重要となってくるので押さえておいてください。
EIDO vs ベンチマークのMSCI Indonesia Investable Market Index
ETFの最も大事な点は目標としてる指数との連動率です。
以下はEIDOと先ほど連動目標として説明したMSCI Indonesia Investable Market Indexのパフォーマンス比較です。
EIDOはベンチマークに対して若干アンダーパフォームしていますが、ほぼほぼ連動していることが分かります。
しかし銘柄組換時の売買手数料や、解約に備えた一定のバッファーを確保しなければいけないことを考慮しないといけません。
上記を加味すると致し方ない差異、つまり許容の範囲内ということが出来ます。
しかし、ここで納得してはいけません。
浮動株を考慮したMSCI Indonesia Investable Market Indexではなく、元々のMSCIインドネシア指数と比べてみましょう。
EIDOとMSCIインド指数のパフォーマンスを比較
それではMSCIインドネシア指数とのパフォーマンスを比べてみましょう。
EIDOは更に過去MSCIインドネシア指数に対して非常に大きく下方乖離していることが分かります。
では何故このような乖離が発生しているのか考察していきます。
これはEIDOとMSCIインドネシア指数の組入上位10銘柄によって主に差異が発生していると考えます。
EIDOの組入上位10銘柄
順位 | 銘柄名 | セクター | 比率(%) |
---|---|---|---|
1 | BANK CENTRAL ASIA | Financials | 20.23 |
2 | BANK RAKYAT INDONESIA | Financials | 13.05 |
3 | TELKOM INDONESIA | Comm Srvcs | 9.19 |
4 | BANK MANDIRI | Financials | 4.61 |
5 | ASTRA INTERNATIONAL | Cons Discr | 4.19 |
6 | CHAROEN POKPHAND INDO | Cons Staples | 3.07 |
7 | UNILEVER INDONESIA | Consumer | 2.50 |
8 | BANK NEGARA INDONESIA | Financials | 2.32 |
9 | KALBE FARMA | Healthcare | 2.04 |
10 | SEMEN INDONESIA | Basic Industry and Chemical | 1.96 |
参照:月次レポート
MSCIインドネシア指数の組入上位10銘柄
順位 | 銘柄名 | セクター | 比率(%) |
---|---|---|---|
1 | BANK CENTRAL ASIA | Financials | 24.59 |
2 | BANK RAKYAT INDONESIA | Financials | 15.29 |
3 | TELKOM INDONESIA | Comm Srvcs | 11.92 |
4 | BANK MANDIRI | Financials | 7.90 |
5 | ASTRA INTERNATIONAL | Cons Discr | 7.09 |
6 | CHAROEN POKPHAND INDO | Cons Staples | 3.36 |
7 | BANK NEGARA INDONESIA | Financials | 2.65 |
8 | SARANA MENARA NUSANTARA | Comm Srvcs | 2.50 |
9 | UNITED TRACTORS | Energy | 2.44 |
10 | MERDEKA COPPER GOLD | Materials | 2.41 |
参照:月次レポート
両者は銘柄構成は似通っていますが、銘柄の組入比率が異なっています。
例えばTopのBank Central AsiaはEIDOでは20.23%なのに対してMSCI Indonesiaは24.59%となっています。
結果としてTop10銘柄の構成比率はEIDOが全体の63.16%となっています。
一方、MSCI Indonesiaは80.13%と約17%の差異が発生しています。
何故差異が発生するかというとEIDOが先ほど説明した浮動株時価総額加重平均だからです。
新興国では大型銘柄から一早く株価が上昇する傾向にあります。
一方で、大型株の一部は既に現地の企業の持ち合いや政府により保有されているケースが多くなっています。
そのため、浮動株ベースでの時価総額は時価総額に対して少なくなってしまうのです。
つまり、有望な大型銘柄の組入比率がEIDOはMSCI Indonesiaに対して低くなります。
結果的にパフォーマンスがMSCIインドネシアに対してアンダーパフォームする結果となってしまっているのです。
インドネシアの他にも新興国のETFについては、
ベトナムのように投資規制によって指数と著しく乖離する市場や、
インドのようにインド株式市場に直接アクセスできない為に乖離が大きくなるケースもあります。
概して新興国のETFは米国のVTIやVOOのような高い連動率になりにくいと頭に入れておいていただければと思います。
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結局最も効果的な新興国株式投資手法って?
個人が新興国の個別銘柄を分析することは難しいと思います。
かといって市場平均に投資をするETFに投資をしても指数と乖離してしまいます。
結果として新興国の成長を取り込むことが難しくなります。
では、結局新興国株に投資する場合どうすればよいのでしょうか。
私がおすすめするのは本物のプロによって厳選された銘柄に投資を行うファンドに投資を行うことです。
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