シンガポール株

貿易立国シンガポールの為替リスクを金融政策や国際収支から分析してみる-相場の安定が重要-

前回シンガポールのファンダメンタル(経済・財政・政治)について確認しました。

 

シンガポールは1人あたりGDPは約57,000ドルで日本の約40,000ドルを大幅に超える世界第7位の水準です。

全く新興国というレベルではなく、しっかりと資本・技術・知識集約型の高付加価値産業へのシフトに成功しています。

 

経済の欠点としては中国や香港といった中国への貿易依存が高いことで今後減速必死の中国の影響を受けることが挙げられます。

国としては成功していますが、新興国というよりは先進国と同様の水準で2%程度と新興国株式投資としての魅力が低いのも難点です。

 

今回はそんなシンガポール株式投資を行う上で重要となってくる為替リスクについて記載していきたいと思います。

 

シンガポールドルって?通貨制度はどうなっているの?

まずシンガポールドルってそもそも何なのか?通貨制度はどのようなものを敷いているのか?

ということについて見ていきたいと思います。

シンガポールドルとは?

シンガポールドルはマレーシアからの1965年の独立後1967年に初めて発行されました。

現在はブルネイ・ドルと等価で固定されており、ブルネイでも使用されております。

シンガポールドルの面白い豆知識としては10,000SGD紙幣(約80万円!!)という世界最高額の紙幣が発行されている点です。

 

シンガポールの通貨制度って?バスケット制度って何?

シンガポールは経済水準は高いですが、人口が少ないので経済規模としては小さくなっています。

その為、海外の巨大なヘッジファンドに狙われたりでもしたら通貨価値が大きく変動してしまいます。

 

シンガポールでは通貨バスケット制度という、複数通貨のレートを参考にしてレートを算出する方式を敷いています。

バスケットの構成は取引が多いUSD、JPY、EURなどで構成されています。

 

通貨バスケット制度については日経新聞に以下のように説明されておりましたので、

参考とさせて頂きます。

 

 通貨バスケット制とはどんな制度か?

 通貨の交換価値を決める際に、複数の通貨を入れた「バスケット」を想定し、それを1つの通貨と見立てて交換レートを算出する方式。バスケットに入れる通貨とその比率は自国との貿易量などを参考に決めるケースが多いようだ。

(引用:日経新聞)

 

どのようにしてレートが決定するのかを分かり易く説明していきたいと思います。

例えばバスケットの構成比率がドル70%、ユーロ20%、円10%であったとします。

 

このような状況下でドルがユーロに対して5%下落つまり1ドル=1.1ユーロが1ドル=1.047ユーロに、

円に対して10%下落つまり1ドル=100円が1ドル=90.9円になったとします。

 

通貨バスケットの計算例

参照:日経新聞

 

そうすると通貨価値は、

ユーロ1×20%×1.05 +円1×10%×1.1+ドル1×70%  =1.02となるのでバスケットを敷いている通貨自体は、

2%上昇することになります。

 

シンガポールの金融政策

なんと、シンガポールには中央銀行は存在しません。

その代わりシンガポール通貨金融庁が通貨政策・金融政策を担当しています。

 

日本でいうと金融庁が中央銀行の役割を担当しているということですね。

因みにシンガポール通貨庁はMonetary Authority of Singapore通称MASと為替の世界では呼ばれています。

日本語でわかりやすく噛砕きますが、MASによると金融政策は以下のようにかかれています。

 

Monetary Policy

Singapore’s monetary policy has been centred on the management of the exchange rate since the early 1980s, with the primary objective of promoting medium term price stability as a sound basis for sustainable economic growth.  The choice of our monetary policy regime is predicated on the small and open nature of the Singapore economy.

There are three main features of the exchange rate system in Singapore.

1.The Singapore dollar is managed against a basket of currencies of our major trading partners.

2.MAS operates a managed float regime for the Singapore dollar with the trade-weighted exchange rate allowed to fluctuate within a policy band.

3.The exchange rate policy band is periodically reviewed to ensure that it remains consistent with the underlying fundamentals of the economy.

(引用:シンガポール通貨庁)

 

 

長々とかかれていますが、要は1980年代初頭以降一貫して通貨レートの安定に心血を注ぎますとかいております。

といいますのも、シンガポールは貿易立国を行っているので為替レートの安定こそが国益に資する為です。

 

更にmanaged floatと記載されており、ある一定のレンジの中での通貨価値の変動を許容すると述べているので、

急激な通貨価値の変動には即座に対処するという姿勢を表しています。

 

また傾向としてシンガポール経済が好調の時にはシンガポールドルのレートが上昇、

不調のときはシンガポールドルのレートが下落するように誘導しています。

 

シンガポールのインフレ率

他の国ではインフレ率を金融目標にしている国が多いですが、シンガポールでは金融政策目標にインフレ率を添えていません。

しかしインフレ率は今後の為替レートを決定する上で重要な指標になります。

 

インフレ率が高い国の通貨は年々通貨の価値がモノの価値に対して下落するので、

下落する傾向にあるからです。

シンガポールと日本のインフレ率推移

参照:世界経済のネタ帳

 

しかし、前回のファンダメンタルで確認してきた通り、

シンガポールは先進国であり成長率も先進国と同様の水準なので、インフレ率も低くなっています。

インフレ率によって通貨価値が下落するという心配は少なそうです。

 

シンガポールドルの見通しとリスク

シンガポールは貿易立国をしている国ですので、為替の安定を最優先としています。

結果として以下のようんい為替レートは安定して推移しています。

シンガポールドルのチャート

 

今後も為替レートは安定して推移していくものと思われますが、

シンガポール経済が好調の時はシンガポールドルレートが高くなります。

 

つまり投資成績が増幅する方向に為替が動く一方、

シンガポール経済が軟調の時はシンガポールドルレートが低くなります。

 

投資成績が更に悪化する方向に為替が動くので、

投資する場合は慎重に景気動向を見極めて投資を行う必要があるでしょう。

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