ロシア株式

日本の国土の45倍を誇るロシアは人口減少で株式投資には不適格?国の経済と財政のファンダメンタルズ分析。

ロシア」といえば、

2018年の日本代表がベスト16まで進んだワールドカップの「開催地」という印象が強いのではないでしょうか。

非常に気温が低い地域で、体を温めるために水を飲むかのごとく「ウォッカ」を飲む文化がある印象が私には強いです。

ロシアといえば日本の45倍の国土を持ち、石油資源大国です。

 

ロシア株式投資を考える前に、株式投資は必ず投資対象となる国をマクロに分析する必要があります。

株式市場、株価推移、為替動向なども然り、正確に分析した上で投資判断をしていく必要があります。

この記事では、それらを含むファンダメンタル分析を実施していきます。

 

ロシアの政治と財政収支

ロシアの大統領といえば「ウラジーミル・プーチン」ですよね。

プーチン大統領

 

プーチン大統領は2000年〜2008年の4年間に加え、2012年〜2018年の約6年間大統領に就任しています。

同氏の支持率は非常に高く、なんと国民の80%を超えています。

 

この高い支持率を誇る理由として、

2014年3月の「クリミア・セヴァストポリの編入」が大きく影響しています。

 

ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入(ロシアによるクリミア・セヴァストポリのへんにゅう)は、国際的にウクライナの領土と見なされているクリミア自治共和国、セヴァストポリ特別市をロシア連邦の領土に加えるもので、2014年3月18日にロシア、クリミア、セヴァストポリの3者が調印した条約に基づき実行された。

1991年のソビエト連邦崩壊・ロシア連邦成立後、ロシアにとって本格的な領土拡大となった。

クリミアとセヴァストポリにおける住民投票、独立宣言、編入要望決議、そしてロシアとの条約締結という段階を踏んで編入宣言が行われたが、国際連合やウクライナ、そして日本を含む西側諸国などは主権・領土の一体性やウクライナ憲法違反などを理由としてこれを認めず、現在、編入は国際的な承認を得られていない。

(引用:ロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入

 

クリミア・セヴァストポリの編入後、プーチン氏は一気に国民の信頼を高めました。

それだけではなく、プーチン政権は経済成長面でも第一期政権時にGDPを6倍にするなど大きな実績を挙げています。

 

2018年の大統領選でもプーチンは得票率76%を獲得、

2024年までの6年間、大統領を歴任することになっています。

では、ロシアの財政状況を見ていきましょう。

ロシアの財政収支

 

 

原油価格の下落で2015年から2017年まで財政収支がマイナスに沈みましたが、近年は立て直してきています。

 

ロシアといえば天然資源が大きな柱ですが、

その「石油」「天然ガス」など資源関連の2014年に原油価格が暴落した結果、

2015年度にかけて連邦政府の歳入は減少しています。

 

「社会保障費」が増加した結果歳出拡大、そして財政赤字は拡大しました。

2017年度は原油価格が回復し、歳入も持ち直し、そのモメンタムが継続しています。

ロシアの歳入の内訳を見てみると、

ロシアは歳入の約50%が原油・天然ガスの輸出税・採取税となります。

原油価格が下落したら大打撃を受けるのは納得できますよね。

 

ロシアの連邦財政収支推移

 

 

上述の通り、ロシアの場合、財政が資源価格に依存しているので、

資源価格の下落の状況次第では債務超過も外国投資家から懸念されることになります。

以下は参考までにルーブルと原油先物の推移です。

綺麗に連動していますよね。

ロシアの為替レートとWTI原油価格の推移

 

外国投資家が資金を引き上げるとどのようなインパクトがあるのか、

それがわかるのがロシア国債の外国人保有率となります。

 

例として日本は「非居住者の保有比率」が5%となっていますが、

なんとロシアの非居住者の保有比率は25%を超えます。

ロシア国債市場に占める非居住者の投資割合

 

 

外国人保有比率が高いことはそれだけ資金引き上げインパクトが大きいことを意味します。

繰り返しになりますがロシアの今後の原油価格次第では、外国人投資家が資金を引き上げ、国債が叩き売られることで金利が上昇します。

 

その結果財政悪化するリスクは非常に高いので、株式投資をする際にはこの点を重点的に注意してみていく必要があります。

 

 

ロシア経済の現状、GDP成長率の推移を把握しよう

ロシアの経済成長率をみていきましょう。

以下はGDP総額と成長率の推移です。

ロシアのGDPとその成長率

 

 

1990年代にマイナス成長を繰り返し混乱に陥っていたロシアでした。

2000年代には構造改革に踏み込み、同時に資源高の時流に乗りロシアのGDP成長率は5%以上を記録しています。

2007年に関しては10%近くまで成長率は上昇しており、まさにロシアの時代とも言える勢いでした。

 

しかし、2008年には金融危機の煽りを受け、資源価格も急落しジェットコースターのように成長率は低迷しました。

2010年以降も中国経済低迷、資源価格もなかなか戻らず苦しい期間を過ごしました。

2016年、2017年にようやくプラス成長を達成しましたが、どうしても資源価格に依存する傾向にあります。

ロシアが今後経済成長を果たすのかという点に関しては、

「中所得国の罠」までどれくらいの距離があるかも重要な指標です。

 

「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを指す。

(引用:内閣府

 

ロシアの一人当たりGDPはすでに10,680USDと、

まさに中所得国の罠である10,000USDに突入しています。

資源に頼らず、知識集約型の産業への大きなシフトチェンジに成功するかどうかが肝ですね。

 

ロシアの人口は今後も増加する?人口推移、人口ピラミッドを考察

経済の動向を予測するに当たって、最も重要なのは「人口」です。

人口が増えなければ内需は拡大せず、消費活動、労働活動が活発化せず、

経済は落ち込んでしまいます。

 

現在の日本がそうですよね。

以下のように、人口は下降しています。

日本の人口推移

 

 

さて、本題のロシアの人口推移を見ていきましょう。

ロシアの人口推移

 

1990年代から2000年代にかけて減少、そして2017年まで短期間の上昇期間がありましたが、

またも減少傾向が続いています。

すでに新興国の域を超えているロシアですから、

今後株式投資などで大きなリターンを狙える国ではないのかもしれませんね。

 

今後もロシアは人口増加を見込むことができないのでしょうか。

人口ピラミッドを見てみましょう。

ロシアの人口ピラミッド

 

 

いびつな形をしていますよね。

若い世代の0〜15歳まで人口の空洞化が進んでいます。

そして働き盛りの30-45歳までの人口も少なく、人口増加はほとんど見込めない状況とも言えるでしょう。

投資をするには、できれば避けたい人口構造ですね。

 

ロシアGDPを支えているのは?

ではロシアのGDPを支えている産業はどうなっているのでしょうか。

主要産業は以下の通りですが、

鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等),鉄鋼業,機械工業,化学工業,繊維工業

まさに鉱業一本足打法の状況です。

 

他産業、主に製造業などにシフトチェンジを求められますがまだまだ時間が掛かりそうです。

ロシアに関しては資源価格の動向がそのままロシア経済に反映されます。

以下は輸出データとなりますが、

やはり石油・天然ガスのシェアが大きくなっていますよね。

2013年は特に顕著です。

ロシアの輸出に占める石油天然ガス関連比

 

 

2015年は原油価格が暴落したことにより、

資源輸出による収入が前年比▲20%の低迷、

財政収支もGDP比▲2.8%の赤字に転落しました。

 

ロシアの輸出入先・他国に依存性はあるのか?

ロシアの主要輸出先及びシェア

ロシアの地域別輸出シェアの推移

 

 

輸出先はEUが大半を占めていますね。

タイやマレーシアなどの新興国は中国に依存しており、

中国の経済動向次第では危険でしたが、

ロシアは分散しているように見えます。

 

しかし10%程の中国のシェアは低くはありません。

加えて、内訳としては資源関係の輸出になりますので、

相手先というより、資源商品に依存がありますので、リスクは常につきまとうことになります。

 

この記事のまとめ

ロシアのファンダメンタル分析は以上ですが、

次回は実際に新興国株式市場の中で、

ロシアは投資適格があるのかどうか、為替動向はどうかという点を具体的に解説していきたいと思います。

 

この記事のまとめとしては、

  • プーチン大統領は2000年〜2008年の4年間に加え、2012年〜2018年の約6年間大統領に就任しており支持率は国民の80%を超えている。
  • 2024年までプーチン氏の任期は継続予定。
  • ロシアは2015年度にかけて連邦政府の歳入は減少、「社会保障費」が増加した結果歳出拡大した。
  • 2019年度は原油価格が回復し、歳入も持ち直し、財政黒字となっている。
  • ロシアは1990年代にマイナス成長を繰り返し混乱に陥り2000年代には構造改革に踏み込み、資源高の時流に乗りロシアのGDP成長率は5%以上を記録。
  • 近年はプラス成長を達成したが、どうしても資源価格に依存する傾向にある。
  • ロシアの一人当たりGDPはすでに10,680USDと、まさに中所得国の罠である10,000USDに突入している。
  • ロシアは人口減少も進んでおり、株式投資をするには資源価格とロシア経済があまりにも連動している点がデメリットに働く。

と言ったところです。

 

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