ロシアの政治はプーチン大統領が鉄壁の政権基盤を固める一方、以前として財政は資源収入が50%を占めており安定性は欠如し、現在国債の外国人保有比率が25%(日本は5%)と非常に高い水準となっております。
危機発生時に外国人による売り浴びせにあり金利急騰で財政が破綻するリスクを抱えています。
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更に経済ももろに中進国の罠にはまっており人口も減少局面となっており、低成長が続いております。
今回はそんなロシアの為替通貨であるルーブルの見通しについて分析していきたいと思います。
Contents
ロシアの通貨ルーブルと通貨制度
まずはロシアの通貨ルーブルとは何なのか?
どのような通貨制度をしいているのかみていきましょう。
ロシアの通貨ルーブル
ロシアの通貨ルーブルは現地語で「それなりの価値のある銀塊」という意味です。
現在のロシアルーブルは1991年のソビエト連邦崩壊後、
1992年7月よりロシア中銀がルーブルの中央銀行公表レートをは発表してから今日にいたります。
ルーブルの通貨制度と簡単な歴史
投資はある一定の変動を許容しつつ、相場を政府・中銀が管理する管理フロート制を敷いていました。
その後、現在のロシアが旧ソ連の負債を引き継いだことにより財政が破綻状態となりルーブルのレートは急落し、
1992年7月の1ドル=125.26RUBから、1997年12月には1ドル=約6,000RUBまで急落しました。
そして1998年に遂に1000分の1にデノミを行い1ドル=6.2RUBで再出発をきりました。
デノミというのは通貨の切り下げのことで、インフレが進みすぎて通貨価値が暴落した場合に、
現在の1000円で何も買うことが出来ないという事態になります。
その為、1000円を新しい円では1円にしますと発表するのです。
そして2014年11月10日に変動相場制への移行を発表して現在にいたります。
現在のレートも1ドル=67RUB程度までまた1998年から10倍程度まで通貨価値が下落しています。
現在のルーブルレートの主要決定要因となっている原油価格
ロシアは資源によって成り立っている国家であることは前回説明いたしました。
為替レート自体も原油価格と高い相関があります。
しかし昨今は米国による追加制裁が発表するなど、地政学的リスクが台頭してきたこともあり、
原油価格が好調な一方、ルーブルは減価する基調にあることが分かります。
しかし、依然として原油価格はルーブルレートを見る上で非常に重要な指標なので、
原油価格が堅調にすればルーブルレートの下支えとなることに変わりはないでしょう。
ロシア中銀の政策とインフレ率
ロシアは今まで高いインフレに悩まされたということもあり、
インフレ誘導目標4%にを設定しています。
ロシアでは原油価格の下落により、2015年~2016年にインフレ率が急騰したことによって
政策金利を16%に引き上げて対応しました。
その後、インフレ率が中銀の目標とする4%を下回ったことを受け、中銀は経済浮揚の為に漸進的に利下げを実施していきました。
中銀の利下げ姿勢に支えられて景気も底上げしていきました。
しかし4月上旬以降米国により制裁や中東の地政学リスクの高まりをうけて、ルーブルが10%を超える急落をしたことでインフレ率が高まることが想定され利下げのスピードは弱まっています。
しかしながら、中銀はインフレ率が目標の4%を上回り続けることは想定できないとしており、
インフレ率は当面現在の中銀目標水準で推移し、
利下げもあと1回~2回に留まることが予想されており、金利水準は現行水準に留まり、
金融政策はルーブルレートに当面影響を及ぼさないでしょう。
米政府は一旦追加の制裁を見送っており、米朝会談実施等地政学リスクは全般に後退しており、
徐々に持ち直すことが見込まれます。
ロシアの国際収支
国際収支は海外からビジネスと投資でいくら引っ張ってきているかという指標です。
国際収支は経常収支と金融収支に分かれます。
経常収支
経常収支というのはいくらビジネスで海外からお金を稼いでいるかという指標です。
原油価格の下落によって一時的にへこんでいましたが、直近は原油価格の安定化と上昇によって貿易収支が巻き返していることもあり、経常収支はプラスになっています。
金融収支
金融収支というのは海外からいくら投資を引っ張ってきているかという指標です。
金融収支は富裕層の資産が世界に流出しており直近は少ないながらも流出超となっています。
国際収支の総括
国際収支は経常収支のプラスが金融収支のプラスのマイナスを吸収しロシアが海外から外貨を獲得できていることが分かる。
獲得した外貨の一定のルーブル変換が見込まれることからルーブルを支える要因となる。
総括と見通し
ロシアの通貨ルーブルは直近は地政学リスクの高まりによって、弱含んでおりましたが
地政学リスクの鎮静化、堅調な原油価格、流入超となっている国際収支の影響もあって、
底堅く推移することが期待できます。