新興国株式全般

【2022年最新版】新興国株式の今後の見通しを詳しく解説!経済成長に伴い現在割安な株式も大きな伸びが期待できるか?

2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて世界的に経済が停滞した1年でした。

しかしワクチンの普及などに伴い2021年は多くの国で経済がV字回復することが見込まれています。

その中でも特に中国やインドをはじめとする新興国は大きな経済成長が予想されています。

 

世界の経済見通し

 

 

経済が大きく成長するとなると気になるのは株式市場もそれに伴って上昇するのかという点ですよね。

今回は過去のデータから現在の状況、そして今後の見通しと時系列で新興国株式を徹底的に解説していきます。

また実際にどの国に投資すべきかも分析します。

 

この記事を読み終わった後には新興国株式についてかなり詳しくなっていることでしょう。

それでは過去の新興国株式のデータから見ていきましょう。

 

過去の新興国株式の推移を振り返る

以下は直近10年間の新興国株式市場のチャートです。

MSCIエマージング指数の基準価額

 

 

大きく上下動を繰り返していますね。

ここでは以下の3つについて述べていきたいと思います。

①2015年中盤~2016年中盤までの下落
②2018年初頭からの停滞
③2020年初頭からの大暴落

 

2015年中盤~2016年中盤までの下落を招いた「チャイナショック」とは?

新興国株式市場は2015年中盤~2016年中盤にかけて大きく下落しました。

これは主に中国経済の影響によるものです。

俗に言う「チャイナショック」の影響ですね。

 

2015年6月12日に始まった中国株式市場の大暴落のことです。

たった1ヵ月で上海証券取引所のA株(人民元建で取引される基本的に中国の国内投資家向けの株)は株式時価総額の3分の1を失うこととなりました。

チャイナショックによる上海総合指数の暴落

 

チャイナショックの背景には中国株式のバブルがあります。

中国国営メディアが一般の投資家たちを煽り立ててハイリスクな信用買いに向かわせたことで株バブルが膨らみ続けました。

 

加熱した投資によりなんと株価上昇率は経済成長率をしのぎ、投資家たちが投資する企業の利益を上回っていたのです。

そのような不健全な状態であったため、ひとたび株価が下落すると投資家たちは追加保証金の請求に直面することとなります。

そして投資方たちの多くが強制的に保有株式の売却を迫られる事態となり、株価の急落を招きました。

 

そのような状況で中国は突然自国通貨の人民元を切り下げます。

これは人民元安を誘導することで輸出を刺激して景気を浮揚させようとする政策です。

しかしこの政策は裏目に出ます。

 

この時期の中国は経済自体は停滞気味だったものの成長は続けると思われていました。

そしてそれに伴って人民元も上昇する、もしもの時は政府が何とかしてくれると思われていました。

ところが、実際は人民元が政府の意思で突然切り下げられます。

それによって中国経済の先行きに不透明感が強まり、一段と中国株式市場に混乱を招くことになったのです。

 

またチャイナショックの影響は中国だけにとどまりませんでした。

当時から貿易を通じた中国との結び付きが強かったアジア諸国では通貨が大きく下落しました。

これは金融市場の混乱で中国景気が一段と減速すれば、周辺国経済にも悪影響が及ぶとの思惑によるものでした。

 

主な新興国通貨の対米ドル変化率

 

 

また中国や新興国経済が鈍化した場合、国際商品需要が減少するとの見方が強まり、商品相場も低迷しました。

その結果、資源国通貨も対米ドルで下げ幅を拡大することになるのです。

このようにチャイナショックは大きな影響を市場に与え、新興国株式市場は低迷することとなりました。

 

2018年初頭からの停滞を招いた貿易摩擦

次に2018年初頭から2020年初頭まで続いた停滞期を見ていきます。

この期間の停滞は「米中貿易摩擦」が主因です。

 

米中貿易摩擦はアメリカ大統領に選出されたトランプにより、2018年3月に中国の鉄鋼製品などへの関税引き上げが宣言されたのが発端です。

それに対して中国も報復措置としてアメリカからの輸入品に関税をかけ、以後米中間で泥沼の関税合戦となります。

その結果2018年の終わりにはアメリカは中国製品のほぼ半分、中国はアメリカ製品の約7割に関税をかけるという事態に陥ったのです。

米中貿易摩擦の経緯

 

結果的に経済成長が抑制され、株式市場も長い停滞期を迎えることとなります。

 

2020年初頭からの大暴落

2020年初頭からの大暴落は言うまでもなく新型コロナウイルスの影響ですね。

しかし一時的に大暴落したものの、すぐに回復して現在では暴落前の株価を上回っています。

今後の株価推移は要注意と言えますが、一時的に下げることはあっても長期的には上がると考えてよいでしょう。

その理由を次章で見ていきます。

 

現在の新興国株式の状況

今後新興国株式が上昇すると考える理由は以下の3点です。

①新興国の人口増と所得増
②新興国の経済成長
③先進国の金融緩和

詳しく見ていきましょう。

 

拡大を続ける新興国の人口と所得の増加

当たり前ですが経済が成長するには人口の増加が欠かせません。

総人口における生産年齢人口の割合が高まれば、豊富な労働力が経済活動を活発にします。

それだけでなく、教育や医療、年金などの社会福祉負担が少なくなり、資金を新しいビジネスに回すことができるようになります。

これがいわゆる「人口ボーナス期」にある国が経済成長する仕組みです。

 

では新興国の今後の人口はどうなるかというと以下の通り急増することが見込まれています。

世界の人口推計

 

先進国が停滞しているのと比べると差は一目瞭然ですね。

さらに人口増に伴って中間所得者数も増加する見込みです。

増加する新興国の中間所得者(予想)

 

 

その国の経済成長を見るうえで所得水準の推移は重要です。

なぜならば所得水準が高くならないと様々なものを購入することができないからです。

所得水準が上がり、人々が消費を拡大することでGDPは拡大し企業収益も上昇するのです。

そして企業収益が増加すればさらに所得も拡大して更に豊かになるという好循環に入ります。

 

新興国の経済成長は継続が見込まれている

経済成長とはすなわち企業の収益が伸びることです。

上でも書いた通り、企業収益が増加すると株価が上昇します。

では新興国の企業収益はどうなっているでしょうか。

以下の図をご覧ください。

先進国と新興国のGDP構成比

 

 

ご覧の通り世界全体のGDPに占める新興国の割合は年々上昇しており、今後も上昇し続け、2030年には世界のGDPの約半分を新興国が占める予測となっています。

つまり、新興国の経済は今後も伸び続けると言えるでしょう。

 

先進国の金融緩和が新興国株式市場にも追い風

先進国で金融緩和があっても新興国の株式市場には影響がないように思えますよね?

ですが、実は先進国で金融緩和があると新興国株式市場に資金が流入して、結果的に新興国株式市場が上昇するのです。

以下で解説していきます。

まず先進国から新興国株式市場に資金が流入するのはなぜでしょうか?

要因は主に以下の2つです。

✔︎ 先進国の金利水準が低いため、高い利回りを求めて新興国に目がいく
✔︎ 金融緩和により資金が余り、運用先を探している

1点目について今後も先進国の利回り水準は低い状態が継続していくとされています。

そのため、今後世界の成長市場である新興国により注目が集まるでしょう。

 

そして注目すべきは2点目です。

リーマンショック以降先進国の中央銀行は継続的に金融緩和を行ってきました。

そして、コロナショックを機にさらに金融緩和の傾向は高まっています。

主要先進国中銀のバランスシートと株価の推移

 

 

上記のとおり中央銀行のバランスシート拡大に伴って世界の株価も上昇しています。

そして、今後も先進国の中央銀行のバランスシートは拡大し続けることが見込まれています。

すなわち株価もそれに伴って上昇し続けることでしょう。

 

つまり、先進国で金融緩和があると新興国株式市場に資金が流入して、結果的に世界株式市場の上昇に伴い新興国株式市場が上昇することになるのです。

 

今後の新興国株式

では今後の新興国株式の株価はどうなるでしょうか。

まず新興国企業はコロナ禍からの経済回復などを背景に増益が見込まれています。

 

一方で新興国の株価水準は引き続き割安な状態にとどまっています。

つまり、企業の価値と株価に大きな乖離があり、今後株価が上昇する素地があると言えるでしょう。

EPS成長率の推移

 

上記の通りEPSが大きく伸びる見込みです。

株価は「EPS×PER」で計算されるため、EPSが伸びるということは必然的に株価が伸びることになるのです。

 

 

投資するのにおすすめの国は?

ここまで新興国全体の見通しについて見てきましたが、具体的にどの国に投資するのがよいのでしょうか?

最近は「インド」という答えをよく聞きます。

しかし、残念ながらインドはまだまだ株価が上昇する地合いにありません。

 

株価が上昇するには自国民が豊かになり、自国民が株式を購入するようになる必要があります。

インドはまだまだ国民が貧しく、1人あたりのGDPは日本の1960年代の水準です。

すなわち国民は貧しく、株式を購入する余裕はありません。

実際日本も経済が成熟して国民が豊かになり始める1980年代半ば頃までは株価はほとんど上昇しませんでした。

日経平均株価の推移

 

 

さらに、インドでは外国人が直接インドの株式を購入することはできずADRという特殊な仕組みを使って購入するしかありません。

つまり自国民が株式を買う余裕がないだけでなく、外国から資金が大量に流入する環境も未整備なのです。

 

ではどの新興国が魅力的なのかというと中国です。

米中貿易摩擦などの影響で中国は既に景気が減速していると思われがちですが、経済成長率は新興国の平均を大きく上回り続けています。

さらに株式市場はこの10年間GDPが3倍に拡大しているにも関わらず20%程度しか上昇していないのです。

つまり株式が割安に放置されているのです。

以下の通りこの10年の日経平均の推移と比べるといかに割安かが分かりますね。

 

日経平均と上海総合指数の比較

 

しかも中国は先ほどみてきたEPSの成長力が高い企業を多く抱えています。

そもそも割安なPERが見直されるだけでも大きな上昇が見込まれますし、コロナ禍からの企業収益の改善も追い風となり大きく株価が上昇することが見込まれます。

 

加えて香港市場を通じて海外投資家の資金が流入する環境が整えられているのもポジティブな点ですね。

 

 

まとめ

新興国株式の今後の見通しについて詳しく見てきました。

全体として新興国株式は今後成長することが見込まれると言えるでしょう。

その中でも直近伸びることが期待されるのは中国です。

世界的にコロナ禍から経済は回復傾向にありますので、この波に乗り遅れないようにしましょう。

 

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