「カンボジア」といえば世界遺産が有名ですよね。
その中でも特に有名なアンコールワットに行ったことがある人も多いのではないでしょうか。
カンボジア含めASEAN諸国は今後も経済成長が見込まれると言われています。
ではカンボジア株式投資で大きなリターンを得ることができるのでしょうか?
この記事ではカンボジアのファンダメンタルズ分析をしていきたいと思います。
早速結論ですが、カンボジアへの投資ハードルは相応に高くなっていますので素人にはなかなか手が出せません。
と言うのもカンボジアは株式市場がオープンして間も無く、株式投資をするにはカンボジア現地で「銀行口座」と「証券口座」を作成する必要があるのです。
そのため、現時点で投資することはなかなか難しいでしょう。
しかし、今後株式市場が整備されると思いますので、一度カンボジア経済を把握しておくことは有益かと思います。
それでは見ていきましょう。
Contents
カンボジアの政治
カンボジアの政治で避けられない話題が有名な「ポル・ポト大虐殺」です。
政権を握っていた1975年からの4年間のうちに、にポル・ポトはなんと200万人ほどの「自国民」を虐殺しました。
当時のカンボジアの人口は700万人ほどですので、約30%以上を虐殺したことになります。
特に虐殺の対象となったのが医者などの知的産業で働く国民です。
ポル・ポトは「階級が消滅した完全な共産主義社会の建設」を主張し、「国を指導する我々以外の知識層は自国にはいらない」と考えていたのです。
この歴史上稀に見るポル・ポト政権の恐怖政治は世界を震撼させました。
ポル・ポト政権の幹部は、文化大革命時の中国の思想から影響を受けたと言われています。
自国民を虐殺するというのは身の毛がよだつほど本当におぞましいですよね。
このポル・ポトの大虐殺によって、多くの優秀な人材が殺害されたことが、カンボジアが長年経済停滞していた原因となっているのです。
プラットフォームなので当然ではありますが、政治は本当に国の経済に大きく影響しますね。
カンボジアの経済
続いてカンボジアの経済の話に入っていきます。
カンボジアの財政は、新興国にしては珍しく「健全」に行われているのが特徴です。
カンボジアの財政支出の約25%が外国からの無償資金援助等で構成されるなど、他国に依存する傾向は少なからずあります。
しかし、カンボジア政府は経済活動にあまり政府が関与しないようにするなど、民間に経済発展を促す政策を積極的にとっています。
これは大きな政府になることを避け、財政赤字が拡大しないようにという施策です。
例えば、内戦終結後の経済復興局面において、カンボジア政府は、電力セクターの整備を、基本的に民間部門に任せてきた。
そのため、カンボジアは、電力事業を国営企業が手掛けてきた隣国ベトナムのように大型発電 所建設のための円借款支援要請を行ったことがない。
このように「政府がやたらに借金をしない」ことも、カンボジアの公的債務残高が少ない理由である。
下図のカンボジアの「公的債務残高」のGDP比率を見ると、CLMV諸国(※)の中で最も低い部類なのです。
(※)Cambodia、Laos、Myanmar、Vietnam の頭文字をとってつけられた、ASEAN の中で比較的経済開発の遅れた諸国の総称
続いて過去のカンボジアの経済成長から、今後の経済成長の可能性を読み解いていきます。
カンボジア経済の現状、GDP成長率の推移を把握しよう
カンボジアの経済成長率を見ていきましょう。
以下はGDP総額と成長率の推移です。
カンボジアは2005年にはなんと経済成長率13.3%を記録しています。
しかし、過去からのボラティリティが凄まじいことになっていますね。
2008〜2009年にはリーマンショックの影響をもろに受け、1%を切る成長率となってしまいました。
さらに2020年は新型コロナウイルスの影響でマイナス成長となっています。
世界経済危機への耐性の低さがよくわかりますね。
しかし概ね5-10%の経済成長を遂げているのも事実です。
一人当たりGDPもまだ1,700USD程度と、中所得国の罠である10,000USDまで遠い水準です。
労働集約型から技術集約型への転換の壁までも時間があるので、この先10年程度はまだまだ経済成長を続けると考えてよいでしょう。
では、カンボジアは実際に株式投資をすべき国と言えるのでしょうか?
長期的なカンボジア経済成長の可能性を探るべく、次は人口に注目していきたいと思います。
カンボジアの人口は今後も増加する?人口推移、人口ピラミッドを考察
経済の動向を予測するに当たって、最も重要なのは「人口」です。
人口が増えなければ内需は拡大しません。
内需が拡大しないと、消費活動や労働活動が活発化せず、経済は落ち込んでしまいます。
現在の日本がそうですよね。
以下の通り人口は下降しています。
さて、本題のカンボジアの人口推移を見ていきましょう。
人口は右肩上がりで増加していることがわかります。
とはいえ、1,700万人程度の人口なので、今後爆発的に成長するのかと言われればあまり期待できる感じがしません。
小規模で母数が小さいからこそ、経済成長率も高いという点が否めません。
しかし、このカンボジアの人口は、今後どのくらい伸びていくのでしょうか?
人口ピラミッドから探っていきましょう。
理想的な形とはいえませんが、高齢層が少なく、若年層のボリュームゾーンが大きいため期待が持てそうです。
今後子供を産むであろう40代未満に人口が集まっていますね。
しばらくは人件費の安さを売りにした労働集約型産業で、経済は着実に成長してくるものと思います。
カンボジアのGDPを支えているのは?
さて、カンボジアのGDPを支えているのはどの産業なのでしょうか?
カンボジアはまだまだ農業の比率が22.0%と高いですね。
基本的にある国の経済は農林水産業→製造業→技術産業→サービスという順序で成長していきます。
カンボジアはまだ1stフェーズにいるということです。
39.5%と高い比率を誇るサービス業はアンコールワット遺跡などの、観光需要を中心としたものでしょう。
経済規模の小さい国では、観光収入が支えになっていることが多いのです。
例えば、南米のボリビアなどは世界中の観光客が高いお金を払ってウユニ塩湖へやってきます。
そのため、ウユニ塩湖で産業が支えられている国といえますが、一本足打法で産業シフトが思いの外進まないというデメリットがあります。
ウユニ塩湖がなくなれば国がさらに貧しくなるという構造になっているため、投資をするには危険な状況です。
しかしカンボジアの場合は、政府の経済政策が健全なので、その点は安心でしょう。
カンボジアの輸出入先・他国に依存性はあるのか?
貿易相手がどこか一国に依存してしまっていると、その国の経済減速が進めばその煽りを受けてしまいます。
その結果、カンボジア経済の低迷にも拍車がかかってしまいます。
では実際の比率はどうなっているでしょうか。
8 主要貿易相手国(2020年、カンボジア商業省統計)
(1)輸出 米国(30.5%)、EU(18.6%)、中国(6.3%)、日本(6.1%)、英国(4.8%)
(2)輸入 中国(37.7%)、タイ(15.2%)、ベトナム(14.1%)、EU(3.5%)、日本(3.4%)
引用:外務省
輸出は先進国である米国、EUで過半数近くを占めます。
非常に安心感が持てますね。
輸入は中国、タイ、ベトナムの順となっており、少し中国に依存しているます。
しかし、中国も今まさに経済成長を続けている最中ですので、当面は心配は無用でしょう。
まとめ
カンボジア経済のファンダメンタルな部分を分析してきました。
国の経済状況としては成長を続けている良好な環境です。
しかし、冒頭で述べた通り、カンボジア株式市場はまだまだオープンしたばかりで、個人が投資するのは相当ハードルが高くなっています。
株式投資で大きなリターンを得たい人は他の市場を積極的に狙っていくことをおすすめします。
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