これまでインドネシアの経済・政治・財政と為替の見通しを分析してきました。
今回はいよいよ本題のインドネシアの株式市場は市場全体としてどうなのか?
個別銘柄で有望なものは存在しているのか?を見ていきたいと思います。
Contents
インドネシアの経済・政治・財政と為替のおさらい
インドネシアは中国やASEANの中では最もすすんでいるマレーシアには及びませんが、
カンボジア、ベトナム、フィリピンよりは発展しています。
成長が停滞・減速する可能性が高い中所得国の罠の水準である1人あたり10,000USD(つまり年収100万円)の水準まではまだ距離があります。
更に、人口も若年層が多い理想的な形をしており今後も継続した成長が見込まれています。
財政状態は深刻というわけではありません。
一点懸念されるのは予算不足で経済成長に必要な投資にお金を回せていないという懸念があるところです。
また産業構造も以前の資源一本足打法からある程度の脱却は図れています。
しかし、まだ他国に対して比率が高いことは若干の懸念材料となっています。
政治は前大統領のユドヨノ氏から10年以上安定的な政治体制が確立されており、
堅調な経済とあいまってインドネシアにはコンスタントに海外から資金が流入しています。
結果として為替も他の新興国に対して安定的な動きをしており、投資に適した環境が継続しているといえます。
インドネシア株の市場平均をチャートと指標から分析
以下はインドネシアの指数ジャカルタ総合指数(濃青)とTOPIX(赤)です。
この10年でTOPIXが+140%程上昇する一方、ジャカルタ総合指数は僅か+60%の上昇に留まっています。
2010年代は先進国株式市場が堅調に推移しており、成長した新興国への資金流入が弱くなっていました。
そのため、新興国全体で株式市場が相対的に割安度が増しており魅力が高まっています。
2019年10月現在のインドネシアのPERは16.7倍、PBR2.6となっています。
PERの面では割安でもなく割高でもない水準ですが、PBR面でいうと割高ですね。
インドネシアの株式市場は誰の目からみても魅力的な投資に適した環境です。
投資家が投資を続けた結果として経済に見合った、
又はそれ以上の水準に株価が引き上げられているという状況であることが分かります。
それではインドネシアのおすすめの個別株についてみていきたいと思います。
インドネシア株の注目個別銘柄①:アストラ・インターナショナル
アストラ・インターナショナルはインドネシアの自動車企業です。
日本でいうところのTOYOTAでインドネシアの自動車販売台数89万台のうち半数以上の48万台が同社となっています。
TOYOTAやBMWなど海外メーカーと提携し、海外ブランド車の組み立て並びに販売を主力事業としています。
インドネシアはようやく車を保有できるようになってきた経済レベルです。
依然として自動車保有率は1桁台%と低いので、今後も同社の利益の進展が見込まれます。
以下は同社の過去5年と今期の業績の予想です。
Dec-15 | Dec-16 | Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | 20-Dec | 21-Dec | 22-Dec | |
売上高 | 184,196,000 | 181,084,000 | 206,057,000 | 239,205,000 | 237,166,000 | 175,046,000 | 233,485,000 | 249,705,715 |
営業利益 | 11,979,000 | 17,567,000 | 20,326,000 | 26,868,000 | 26,184,000 | 12,409,000 | 24,697,000 | -- |
当期利益 | 14,464,000 | 15,156,000 | 18,847,000 | 21,673,000 | 34,054,000 | 21,741,000 | 32,350,000 | 36,301,142 |
EPS(ルピア) | 357 | 374 | 466 | 535 | 536 | 399 | 499 | 569 |
PER(倍) | 17 | 22 | 18 | 12 | 13 | 15 | 14 | 12 |
配当(ルピア) | 177 | 168 | 185 | 214 | 214 | 114 | -- | 221 |
綺麗な右肩あがりで売上高と利益が伸長しているのが読み取れますね。
しかし、業績は堅調である反面株価は右往左往しています。
結果としてPERは新興国の成長株としては格安の12倍と割安水準となっています。
ROEが17%と非常に効率的に利益をあげているのも魅力的な点ですね。
毎年ぐんぐんと成長しているので、長期投資目線で投資を行えば利益を獲得することができるでしょう。
インドネシア株の注目個別銘柄②:インドフード
続いては内需の代表銘柄のインドフードです。
インドフードは即席麺や調味料など加工食品の製造から販売を手掛ける会社です。
原材料となる小麦の価格上昇が懸念材料ではありますが、コストカットを徹底し利益は増加傾向にあります。
また人口増加や所得上昇によって今後も消費需要は高まることが確実となっています。
今後の業績も拡大基調となるとみて間違いないでしょう。
Dec-17 | Dec-18 | Dec-19 | Dec-20 | Dec-21 | Dec-22 | |
売上高 | 70186618 |
73394728
|
76592955
|
81731469
|
99345618
|
103296375
|
営業利益 |
8683770
|
9143020
|
9831024
|
12889087
|
16882324
|
|
当期利益 |
4156222
|
4166101
|
4908172
|
6455632
|
7642197
|
8050487
|
EPS(ルピア) |
473.35
|
474.47
|
558.99
|
735.22
|
870.36
|
893.42
|
PER(倍) |
16.11
|
15.7
|
14.18
|
9.32
|
7.01
|
6.77
|
配当(ルピア) |
237
|
236
|
278
|
278
|
--
|
380.71
|
綺麗な右肩あがりで売上高と利益が伸長しているのが読み取れますね。
しかし、業績は堅調である反面株価は右往左往しています。
結果としてPERは新興国の成長株としては格安の12倍と割安水準となっています。
ROEが17%と非常に効率的に利益をあげているのも魅力的な点ですね。
毎年ぐんぐんと成長しているので、長期投資目線で投資を行えば利益を獲得することができるでしょう。
インドネシア株取引をする際の注意点ー楽天・SBIで購入できるが手数料が高いー
インドネシア株は楽天証券やSBI証券を通して投資することが可能です。
市場全体に連動するETFや投資信託更には個別株にも投資することが出来ます。
しかし、特に個別株を取引きする際には注意しなければいけません。
個別株は株を購入するときと売却するときの為替レートが往復で約8%違います。
そして売買時にそれぞれ約1%の手数料がかかるので合計約10%の手数料がかかります。
つまり10%以上の利回りが期待できる銘柄に投資できないと投資損失を被ってしまうということです。
新興国の個別株銘柄投資にはこのように往復の売買手数料だけ注意するだけでは十分ではありません。
売りレートと買いレートの為替取引の差にも気を付けなければいけないのです。
インドネシア株投資総括とおすすめの新興国株投資手法
経済・財政・政治が安定しているゆえに投資しやすい環境が続いた結果、
既にある程度資金が海外から流入し、割安という水準ではないことが分かりました。
個別株もある程度探しましたが、成長力が高いにも関わらず非常に割安という生唾ものの銘柄を見つけることは出来ませんでした。
また個人で取引を行う場合は10%の手数料が発生するという点も株式投資を行う障壁となっており
- 割安ではない市場
- 銘柄分析の難しさI(情報不足)
- 異常に高い手数料
という観点から敢えてインドネシア株投資を行う必要性はないかなと考えています。